Realize!

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保健室のベッドに横になったり、
先生とお昼を食べたり、たまにおしゃべりをしたり

そうやって時間を過ごした。

保健室に生徒が訪れることはなかった。
わたしも、「消えろ」と突き飛ばされて初めて入ったんだった。

なぜか、と言われればなんとなく……保険医の先生にいい噂がなかったような、イメージで。

でも実際の先生は、とても柔らかかった。


「先生はどうして先生になったの？」

「向いてると思ってな」


先生の声がいいなと思った。
話し方も、乱暴なようで繊細で。


「絶対向いてないよ」

「生徒にそれ言われたら終わりやなー」


目線を下げてふっと笑うのが、好きだと思った。


「中学んときにな、世話になった先生に言われてな」

「なんて？」

「渋谷くんは教師になりなさいって」

「……ふーん」


わたしを見て微笑んだ先生は、優しそうな悲しそうな顔をした。


「お前の言う通り、全然向いてへんかったわ」


先生といれば、わたしは透明じゃないから、普通でいられるから、今この身に起きている非現実的なことを忘れて入られた。


「生徒からは全然懐かれへんし、タバコはやめられんし」

「はは、よくクビにならないね」

「ほんまやで」



放課の時間になると、グランドから運動部の声が聞こえてきた。

学校中から吹奏楽部の練習が聞こえる。



「……さ、帰るかな」


先生が呟いた。


「A」

「はい」

「どうする」

「………」

「とりあえず、夕飯やな」


先生はまた、車に乗せてくれた。

こんなん他の先生にバレたらクビちょん切られるで。

先生は言った。

わたしは助手席に乗ってシートベルトを締めた。

大丈夫だよ。わたしのことは先生にしか見えないんだから。

声には出さなかった。

きっと先生だってそんなこと、わかっていると思うから。

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