Disease (ページ11)

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鏡の向こうの自分は思ったほど悪い顔はしていなかった。笑うことはできる。

だが、頬を伝う涙は止めることはできない。自然と流れていく涙を無意識に見つめながら、私は洗面台に両手を着いた。

"考えろ、考えるんだ。何が最善か…私に何が出来るか…"

まずは、このことがママにバレてはいけない。兄弟達にも…今はバレてはいけない。

｢あ｣

知らないうちに膝が笑ってしまっていた。身体を支えられず床にへたりこんでしまう。私の嗚咽だけが静かに響いていた。

しばらく経った時だった。人の気配を感じ入り口の方に顔だけを向ける。

｢ノー…マン？｣

｢A…｣

入り口から入ってきたのは先程まで一緒にいたノーマンだった。

｢エマは…？｣

｢先に休んだよ｣

｢変な夢見なければいいけど｣

｢Aは寝ないの？｣

どうやら彼は私が部屋に戻っていないことに気づいていたらしい。

｢ノーマンこそ｣

暗闇で顔が見えないことをいいことに私は俯いていた。

"顔を洗わなくちゃ…"

｢ノーマンも早く寝なよ｣

自分が笑顔を作り慣れてるのは知っている。いつもはママにしか見せない貼り付けた笑顔でノーマンを見た。

だが、その視界は白で覆いかぶせられた。