5本の薔薇 Ⅰ (ページ43)

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｢ゴーン！！｣

キルアが大きい声で呼ぶと、ゴンの応える声が聞こえた。
私達が顔を出すと、ゴンは顔に傷を負っていた。

｢久しぶり！！よく来たな。どーした、ひでー顔だぜ｣

｢キルアこそ｣

ゴンとキルアの再会に、私達はほっと安堵した。

｢A、大丈夫だったか？｣

｢えっと、ど…ううん、大丈夫だったよ｣

｢ど？｣

"クラピカの顔がこわい"

私は苦笑いしつつ、キルアを見つめた。

｢そいつ、お袋に毒盛られたんだよ。もう大丈夫だと思うけど…2週間丸々寝てたからなぁ｣

｢え？｣

"2週間も寝てたの！？"

｢…｣

頭の中で整理しながら、ゆっくりと無言のクラピカを見つめる。

"あ、怒られ…"

俯いた、私を襲ったのはクラピカの怒った声ではなく、温かい腕だった。

"え？"

｢心配させるな、私に頼れと言っただろう。身体の不自由な所はないか？｣

｢…え、あ、うん。2週間寝てた割には動けると思う｣

私の背中に手を回し、ぎゅっと私を抱きしめてくれる。試験中からなんども助けられた、力を貰った。そして、今も私に安心感をくれる。

数秒抱き合ったあと、私達は離れた。

"一緒にいたいな"

クラピカ達の後を追う私の心の中にはそんな気持ちが散らばっていた。