5本の薔薇 Ⅰ (ページ33)

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キルアと過ごした残りの島への滞在時間は
探検でほぼ埋め尽くされた。

"クラピカ達平気かな…"

｢あー、またクラピカだろ｣

｢え？｣

｢Aさぁ、クラピカのこと好きなの？｣

｢…え？｣

"そんなこと考えたこともなかった"

心の声が顔に出ていたのだろうか、キルアが大きくため息を吐いた。

｢気づいてないの？バレバレだぜ？｣

｢好きっていう感情がわからないの。キルアは好きな子いるの？｣

私の質問にキルアが面をくらった。そして、しばらく考えたあとにっこり笑った。

｢オレ、Aのこと好きだぜ？｣

今度は私が面を食らう番だった。大きく開いた目で何度か瞬きをする。

｢え？｣

｢まぁ、どうにかなりてぇって気はないけど｣

そう言うとキルアは立ち上がった。

｢そろそろ、船に戻ろうぜ｣

私に手を差し出し、私が立つのを促す。キルアの手を掴んで立ち上がると、私はキルアにお礼を言った。

｢なんで、礼なんか…｣

キルアが照れているのが分かる。

｢だって嬉しかったから｣

そう言って、キルアの前を歩く。

｢もう、さっきの撤回しそう｣

キルアのそんな呟きは微かに聞こえていた。