5本の薔薇 Ⅰ (ページ4)

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私が話し終えた時、クラピカは私のことを呆然と見ていた。

"あれ？話しすぎた？"

｢いや、すまない。それは、聞いていい話だったのか？｣

｢大丈夫ですよ。誰にでも話す訳ではありませんが、クラピカはこの話を悪用することもないと思ったので…｣

｢それは、買い被りすぎだ｣

初めてクラピカが微笑んだ。そして、表情を変え、クラピカは話し出した。

クラピカは、クルタ族の生き残りで緋の目を奪っていった幻影旅団を捕らえること、そして、仲間達の目も取り戻すことがハンターとなるきっかけだと話した。

｢話してもよかったんですか？｣

｢私も君がこの話を言いふらすようには見えなかったのでだな｣

そう言うと、頬を緩めた。

あの出来事が起きてからの生活は話してない。どうやって逃げてきたのかとその後どんな生活をしてきたのか…まぁ、あの人たちのことを今話すのは不味い気がする…。

私は忘れ去られていた紅茶を1口飲むと、短く息を吐いた。

｢そろそろ船に行こうか｣

｢はい、そうですね｣

最後の1口を飲み終えて、そういえば…とサンドイッチの存在を思い出す。

｢船でも食べられるだろう｣

私の目線に気づいたのか、クラピカはそう言った。私は頷きクラピカの後を着いて喫茶店を出て行った。