5本の薔薇 Ⅰ (ページ24)

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キルアが戻ってきたのはあれから数分後、窓の外を見ながら飴を舐めている私に気づき声をかけてくれた。

｢お前、オレが人を殺してもなんにも思わないの？｣

｢キルアにとってそれが日常なんでしょ？だったら仕方ないよ｣

｢おかしな奴、オレのこと知ってたの？｣

｢思い出しただけ、ゾルディック家って有名だから｣

私は棒をつかみ飴を口から出した。

｢それ、オレにもちょーだいよ｣

｢ダーメ、美味しくないよ？｣

そうだ、これは私用の特注品。一般人が舐めても美味しくないはずだ。キルアは納得したのかと思ったら、私の舐めていた飴を奪ってそのまま口に含んだ。

｢ちょっ！｣

｢うーん、甘い…けどなんだ、鉄の味…？｣

キルアが飴の感想を述べている間、私は呆然とその様子を見ていた。

｢私、病気なんだ。その飴は薬みたいなもん｣

やっと紡いだ言葉に、キルアは相槌をうつ。

｢その病気ってさぁ、血が欲しくなるの？｣

｢え？…見てたの？｣

シャワー室に入っていったと思ったキルアは、1度ドアを開けて私を見ていたらしい。キルアが倒した男の血を私が掬って舐めているところを…。

私は、それに気づかなかった自分に不甲斐なさを感じていた。