5本の薔薇 Ⅰ (ページ14)

今日:1 hit、昨日:16 hit、合計:3,295 hit

014 ページ14

扉が開き、目の前に広がる光景に息を呑んだ。

｢いったい何人くらいいるんだろうね｣

｢君達で405人目だよ｣

ゴンの疑問は、上からの声で解消された。私はフードを深く被り直し、声のした方を向く。降りてきたのはトンパという男性だった。

"あ、ビーンズさんだ"

トンパの話に興味を持てなかった私は、ビーンズさんに気付かないふりをして番号札を受け取った。そして、辺りを見回す。

"女の人も何人かいるみたい"

そこで、白い髪の少年と目が合った。スケボーを持った異質な少年だ。

｢ねぇねぇ、君もハンター試験受けるの？｣

その質問は些か失礼じゃないか、と少し引っかかるものの私は声を出さずに頷いた。
身長的に私より少し低い彼は、ゴンと同じくらいだろうか…。

｢オレ、キルア。君は？｣

｢A｣

｢Aね…いくつ？｣

｢16｣

｢オレよりも4つも上かよ｣

"よく喋る子だなぁ"

そんなことを考えながら、キルアを見る。きっと、何かシゴトをしている気がする。たまに見せる鋭い殺気がそれを物語っていた。

そこで、大きな音が鳴った。音の方を見ると髭を生やした男性が立っていた。

｢ただ今をもって、受付時間を終了いたします。では、これよりハンター試験を開始いたします。こちらへどうぞ｣

男性は乗っていたパイプから飛び降り受験生の前に降りた。

これから始まる試験に、私は静かに深呼吸をした。