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‘見えない’ということは弄る材料を新しく得られないということである。バニルは少し思案した後にAではなく他の3人に目を向けた。
「……良いことを教えてやろう。こやつの痣は脚の付け根にある。」
「わああああああああ!!!!!」
バニルの言葉に1拍置いて、大声を上げながらAが飛びかかった。普段であれば絶対にしないようなAの行動に萩原、松田、諸伏は唖然とする。
「これはこれは、大変美味である。」
機嫌良さげに笑うバニルに対し、Aは床に座り込んでしまった。萩原が手を差し出し立ち上がるのを手伝う。
「うぅ……もうお嫁にいけない……」
「「は??」」
突然の爆弾発言に萩原と松田が揃って声を上げた。理解出来ていない面々にバニルが愉しそうに説明する。
「こやつら紅魔族はな、生まれた時から体のどこかに縞模様の四角い痣があるのだ。そしてそれを見られること、場所を知られることを、裸を見られることと同じように恥ずかしがる……」
「バニル殺す……バニルを殺して私も死ぬ!!」
「一旦落ち着け!」
今にも魔法を放とうとするAを松田が慌てて抑える。怒りからか、羞恥からか、Aは3人が見たことがないほどに赤面していた。
「まぁ爆裂魔法を撃ったところで我輩の残機が1つ減るだけであるが……美味しい悪感情のお礼に、何か叶えてやろうではないか。」
勝手に対価を徴収したにも関わらず尊大な態度で言った。そんなバニルをAが若干涙目になりながら睨みつける。
「……バニル人形を笑わないようにできるかい?あと、100回くらい死んでおくれ。」
「まぁできなくはないが……勿論2つ目は無理であるな。」
そう言うと、バニルは実験部屋から人形を持ち出し何やら弄り始めた。暫くしてAに人形を返す。
「多少効果は落ちるがもう勝手に笑うことは無い。ああ、‘お願いしますバニル様’と言うと笑うぞ。」
「なに勝手に変な機能つけてるのさ。そんなこと私が言うわけがないだろう。」
呆れたように言ったAにバニルが首を傾げる。
「以前寂しさにこれを抱き締めて寝ておったのは誰であろうな?」
「やっぱり殺す!!!」
この世界に来てすぐの頃、流石のAも慣れない世界で多少は苦労していた。見知らぬ土地でたった1人、モンスターを狩ることもなければ堂々と魔法を放つこともできず、初めて触れる文化に戸惑うことも多かったのだ。
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kanayamamoto112(プロフ) - ヒロインちゃんが大和警部と由衣刑事と諸伏警部の前で能力を披露するのか気になります。 (2022年12月31日 8時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
恋透(プロフ) - kanayamamoto112さん» はじめまして。ありがとうございます!なんと1から!!滅茶苦茶嬉しいですありがとうございます!私達も長野県警大好きなので後々どんどん絡ませていこうかなと……続き多分来週には上げれるっぽいです!コロナ、インフル等々kanayamamoto112さんもどうぞお気をつけください (2022年12月18日 20時) (レス) id: 2892050d09 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。この犯罪都市に祝福を!第1章から見てます。ヒロインちゃんと大和警部と由衣刑事と諸伏警部との絡み楽しみです。続きが楽しみです。作者さん体調には気をつけてください。 (2022年12月16日 8時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
恋透(プロフ) - [アイク・ブルームーン]アイおっとりさん» 滅茶苦茶遅くなってすみません💦💦ありがとうございます!少しずつにはなりますが更新頑張ります!! (2022年11月6日 20時) (レス) id: 2892050d09 (このIDを非表示/違反報告)
[アイク・ブルームーン]アイおっとり(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい!! (2021年11月25日 19時) (レス) @page37 id: 466201e21a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透、恋 | 作成日時:2021年10月30日 1時