【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ26)

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(ベストジーニスト視点)

それは、雄英から聞かされて予想していた以上の個性。

目の前に現れた巨悪の攻撃を防ぎ、今まで弱々しかった彼女は、その場にしっかりと立っていた。

「……君の相手をしている場合じゃ無くなってしまってね…」

攻撃してきた敵は姿を消した。

「菊地原」

名前を呼ぶと、少女は一瞬驚くも、辺りを見渡す。

「…どこだ、ここ…、あぁ、思い出した…

……ベストジーニストさん、皆さんも、助けに来てくださってありがとうございます」

周りのヒーロー達は困惑している。
寧ろ、助けられたのは我々の方なのだ。

「体は大丈夫なのか？」

「…多分大丈夫では無いです
ぼくの個性を聞いてるかは分かりませんが、個性を解いたら元に戻ります……記憶が、曖昧なんです、敵の薬を打ってから

……酷い状態でしたよね？」

少女は淡々と話す。

「…この体でいるうちは、問題なく、動けます

ベストジーニストさん、さっきのあいつは、オールマイトとここで戦う気です…
この街に、大きな被害が及びます

…救助と、避難を…」

彼女の言葉の途中で、轟音が鳴り響く。

「…ッ！」

彼女は目を閉じ、その場に座り込んだ。

動かない…いや、集中している。

遠目に見える街の光景を見て、唖然とした。

崩壊する街。しかし、瓦礫が途中で半透明な壁に阻まれたり、直接人を守ったり、足場になったり…今、彼女がしていることだ。

「…っ、はやく…避難活動を…！」

彼女の声に、私はその場にいるヒーロー達に指示を出した。

オールマイトは、その正体を晒すという形で勝利を収めた。
崩れ去った街、しかし、死人はまだ確認されていない。それどころか、怪我人も…逃げようと焦り、転んだ程度の者が殆どだった。

所々に、半透明な壁が見える。

私は急ぎ、置いてきてしまった本来救助の対象であった少女の元へ向かった。

そこには、発見した時と同じボロボロの姿で倒れている彼女の姿があった。

「…っ、しっかりしろ、直ぐに救急車へ連れていく」

「……、…かざまさん、もどってきたん、ですか」

また、『かざまさん』…余程この少女にとって大切な相手なのだろう。

「ぼくは…大丈夫、です……それより、市民の安全、を……任務、を……ゆうせ、ん……してください」

「……菊地原のおかげで怪我人はいない、よくやったな」

「……、…」

少女はいよいよ話さなくなったが、その開かない目から一筋の涙を流した。

こんな状態で、本当によく守ってくれた…。