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風間さんは、ぼくの話を信じ、相談に乗ってくれた。
ぼくは、菊地原士郎になれているだろうか。
一番の、悩み。

『お前が《誰》かなど、さしたる問題ではない
お前が《何を》するか、だ

一人で不安なら、俺達に頼れば良い
それが仲間だ』

風間さんはどこか優し気な声でそう言ってくれた。

『俺にとっての菊地原士郎はお前だ

俺の目の前に生きているお前が、菊地原士郎だ

お前は生きている
未来は、生きている者のためにある

お前の生きたい様に生きれば良い』

ぼくは、原作で人が死ぬシーンがあるのを、知っていた。
原作を壊すのが怖くて、見殺しにするのも怖くて…。

『未来は決まっていない

お前の未来だってそうだ

生きていればいくらでも足搔ける

それで失敗して道を見失うのが怖いというなら、俺が居る

指針があれば、迷子にはならないだろう』

あぁ、この人はぼくの、ぼくたちの隊長なんだ。
漠然とそう思った。
ぼくよりも低い背。変わらない表情。
でも、誰よりも力強く、信じさせてくれる安心感。

頼って良いんだ。

足掻いて良いんだ。

好きに、生きていいんだ。

この日から、ぼくは本当の意味で風間隊の菊地原士郎になれた。

仲間を得たぼくは、原作に大きな変化をもたらす気は無かったが、人の命は助けれるだけ助けたいと足掻いた。

風間さんにも相談して、作戦を立てて…。

ぼくは確かに、生きていた。

そんな折り、歌川に聞かれた事があった。

『おまえはどうして、そんなに人に嫌われようとするんだ?』

自分では気づいていなかったが、菊地原士郎は風間隊以外に友好的で無いイメージが先行していたのだろう。
何より、生意気な毒舌キャラで居なくてはと思い自然とそうなっていた。
残念なことに毒舌というより、暴言、だが。そこはぼくの語彙選びが下手くそということで許してもらいたい。

むしろ、そんなぼくに根気強く付き合ってかれる…いや、自然と友人として接してくれる歌川に感謝した。

そういえば、出水さんもやけにぼくに絡んできたな…。
原作で菊地原と出水の絡みがあったか覚えておらず、曖昧にごまかしたり突き返したり暴言を吐いても、出水さんはいつでもぼくに笑顔で話しかけてきた。

風間さんに相談したら、交友関係も好きにしたら良いと言われたので、なら風間隊以外とは関わらなくても良いや、なんて結論を出したんだっけ。

依存していたんだろうな。

風間隊がぼくの唯一の居場所だと。

神野区編(と短い記憶喪失)1→←過去回想編1



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作者名:こんにゃくの様な何か | 作成日時:2019年2月26日 9時

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