【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ22)

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過去回想編1 ページ22

ぼくがまだ『私』で、気づけば『菊地原士郎』という男の子に生まれていた時の話。

最初は、前世の記憶を持ったまま、ただ、転生しただけだと思っていた。

女から急に男になったけど、両親は優しく、子供らしくない私…ぼくの事も可愛がってくれた。

それがある日、三門市が『ネイバー』という異界からの侵略者に破壊されたことにより、ぼくはこの世界が普通の世界ではなく、『漫画の中の世界』だと気づいた。

友人から勧められて読んでいた『ワールドトリガー』という漫画…しかし、その記憶は曖昧で…。

でも、ぼく『菊地原士郎』は『原作キャラ』であることを知っていた。

原作に歪みが生まれる影響が怖くて、『菊地原士郎』になるために頑張った。

その第一歩として、まず、『風間蒼也』にチームに誘われなければならない。
原作では、SEを買われて、といった流れだったが、あの『風間蒼也』が、ただ耳が良いだけでチームに誘ってくれるか、ぼくは不安だった。

だから、死ぬ気で特訓した。

ボーダーに入って毎日模擬戦の日々。

風間隊に入れるよう、当然武器はスコーピオン。

B級に昇格したある日、ついに風間さんがぼくに声をかけてくれた。
SEと、努力の姿勢を、買ってくれたらしい。
あの時、ぼくは、菊地原士郎としてではなく、『私』を認められたようで嬉しかった。

一方で、迅悠一の事は苦手だった。
未来視のSE…何でも知っていますという態度。
いつか、ぼくの秘密…前世のことがバレるんじゃないかとヒヤヒヤした。
だから可能な限り接触を絶った。

風間隊の菊地原士郎として、なんとか成り立ったぼくは、原作開始を不安に思いながらも仕事に打ち込んだ。

そんな時、風間さんに聞かれた。

『お前は、何にそんなに怯えている？』

一瞬、答えに悩んだ。なんの話ですかと誤魔化そうとしても、風間さんは逃がしてくれなかった。
何より、『私』は、限界だったのだと思う。未来を断片的に知っている。しかし、迅悠一の様にいくつもの可能性が分かるわけではない。
最前が、分からない。原作通りに動く事しかできない。
でも、それを失敗してしまったら？そのせいで、何かとんでもない歪みが生まれてしまったら？

人が、死んでしまったら？

気づけば、風間さんに全て話してしまっていた。

前世の記憶があるなんて、荒唐無稽な話…それを風間さんは静かに最後まで聞いてくれた。

風間さんの第一声は、
『よく話してくれた』
だった。