【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ21)

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出水くんはその場から動かない。

「なんでだ、なんでだ…なんでだ……」

憔悴しきった様子の出水くん…。

僕らも、目の前で二人をさらわれたショックで放心していた。

「なん、で……、……士郎……、……拒否、したんだよ……っ
あんなの…大丈夫なわけ……ねぇだろうが……っ

俺が…俺のせいだ……っ、俺じゃ…ダメなんだ……っ」

あの出水くんが、泣いている。

あの時…あの一瞬……。

出水くんはたしかに、霧に覆われそうになる菊地原さんを助けようとしていた。

けれど、目を見開き叫んだ瞬間、常闇くん達を助けてくれた…たぶん……あの二人にしか分からない、やり取りが、あったんだ…。

2人の深い絆を、思い知らされると同時に、くるしくなる。
出水くんは、生身に戻ってから、その場で地面を殴った。

拳から、血が滲んだその光景は。

全身ボロボロの僕より、痛々しく感じた

その後、二日後、僕は病院で目を覚ました。
動けるクラスメイト達は見舞いに来てくれたが、その中に出水くんの姿はなかった。

その後、八百万さんが敵に発信機を付けていたらしく、戦わずにどうにかかっちゃんと菊地原さんを助けに行けないかと、僕らは神野区に向かった。

出水くんも、来るものだと思っていたが、誘ったら断られた。

『行っちまったら、俺はきっと、あいつらを全員殺しちまう
周りの被害も考え無しに、士郎以外、全員…

だから、約束通り俺は、士郎の帰りを信じて待つよ…今日も、朝から個性を使えないようトリオン体…アバターを破壊してある』

約束…きっと、それも、2人の間でしか分からないこと…。

出水くんは、耐えていた。

助けに行ける方法を自ら潰して、菊地原さんの帰りを待つ選択をしていた。

僕は……何ができるだろう……。

(主人公視点)

公平に、厳しいことをお願いしてしまった。

公平なら見えたよね、僕の、震えながらも、伝えた、口の動き。

ぼくは大丈夫だから、みんなを、守って。

きっと、公平は、今頃自分を責めているだろう。

ごめん…。ありがとう……。

朦朧とする意識で、考える…爆豪も、連れてこられたみたい。

「おい、こいつ本当に生きてんのか？」

「生きてるはずだ…とりあえず追加の薬打っとけ、話し合い前に暴れられたら困る」

なんだよ、話し合いって…。
ぼくは、腕に何か刺されるのが音でわかった。…感覚は、しなかった。

眠い。