【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ19)

今日:44 hit、昨日:29 hit、合計:135,712 hit

9 ページ19

(緑谷出久視点)

ヴィランとの戦闘で僕の身体は既にぐちゃぐちゃだった。
それでも、伝言を伝える必要が、あった。

マンダレイのテレパスで伝えられる。

敵の狙いは『かっちゃん』と『双子の小さい方』

……これで、A組には全員伝わるはず。

その時僕は、もう既に菊地原さんが捕まってしまっているなんて、知りもしなかった。

動くはずのない体を動かして、森を走る。
かっちゃんを、守らないと。

ヴィランと戦闘を交えながらも、
障子くん、常闇くん、轟くん…そして敵の狙いであるかっちゃんと合流し、ひとまず安心する。

この布陣ならかっちゃんを守れる。

その考えが甘かった。

蛙吹さんと麗日さんとも合流したその時…かっちゃんと常闇くんが、姿を消していた。
いや、ヴィランに、捕まってしまったのだ。

慌てて、追いかける。

このまま攫われるなんて、ダメだ！

麗日さんと蛙吹さんの力を借りて、敵の元まで飛ばしてもらう事でたどり着く。

「菊地原、さん……？！」

僕は、予想外の光景に動揺した。

『あの』菊地原さんが、既に、捕まっている。
心臓が早鐘を打つ。
何処かで、安心しきっていた。菊地原さんは、僕らと、全然レベルが違う。
だから、大丈夫、だって……。

継ぎ接ぎだらけの男が、まるで荷物のように菊地原さんを抱えている。

服は所々焼け、血が、まだ、流れてる…ピクリとも、動かない。

轟くんと障子くんと協力するも、敵に一歩、及ばない、間に合わない。

その時、轟音が、響いた。

緑の光。

あまりの眩しさに、その場の全員が怯む。

それは一瞬だった。森だったはずのそこは、敵を中心にするように更地になり、継ぎ接ぎ男とかっちゃん達を捕まえた男以外気絶していた。

瞬き。

継ぎ接ぎ男…茶毘と呼ばれた男の前で、黒いロングコートがひるがえる。

思い切り蹴飛ばされ、地面に転がる、敵。

「お前ら……士郎に、何をしやがった」

そこには、菊地原さんを横抱きにし、今まで見たこともない形相で低く唸る出水くんの姿があった。

「出水くん…！かっちゃんと常闇くんが…っ」

「…見えた」

冷たい声。

僕の方に視線は向かない。

出水くんは、静かに菊地原さんを、地面に下ろす。

「すまねぇ、士郎…誰よりも先に、お前の元に行くべきだった……例えそれが、お前の望みじゃないと、分かってても…」

出水くんの声に、悔しさが、滲み出る。

蹴り飛ばされた敵が立ち上がる。

出水くんは、静かに構えた。