【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ18)

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「注射って…腕で良いの？それとも首？」

「んぁー？どっちでも良かったハズだ！」

大丈夫だぜー！と良い笑顔で言ってくる敵に苛立つ。

「わかった」

ぼくは袖をまくり、男の方に腕をよく見せる。

「ここが、一番太い血管…今から刺す

約束してほしい、絶対に、その子を、解放して」

「アハッ！菊地原チャン健気だねー！
ヴィランが約束守ると思う？でも信じるしかないよねー！？
殺さない殺さない！だからサクッといっちゃってー！」

注射器を、刺す。
謎の薬を、押し込む。

瞬間、男が、男の子を放した。

「目標達成ー！そして約束通り解放～！ジャア殺しまーす！」

ほらね。

お前みたいな奴って、より相手を絶望させたくて、派手に殺そうとするよね…そうするよう、ずっと会話で誘導された事に、気づきもしないで。

振り上げられる、手。

男の子から手を放した時点で、お前の負けだ。

「……え"？なん"、で…ぉま…個性……」

男の手足は、バラバラに斬られた…様に見えた。
地面から伸びる、僕の、スコーピオン。
神経だけ斬ったから、死にはしないがもう2度と、動けないだろう。

内臓にダメージを感じる…あぁ、無駄が無駄じゃなくなった…。
口から、血が出る。不味い。

助けた男の子が、こちらに来ようとする…ダメだ。

「逃げ、て」

「まだ動けるんだ、すごいなぁ……」

「は、やく……逃げて……」

火傷の跡なのか、まるで皮膚を縫い合わせた様な肌の、男。
ずっと、やり取りを観察されていた。

炎を纏った拳をさけつつ、カウンターを入れる。

「……ッ、立って！走って！！
じゃないと死ぬぞ！！」

ぼくの言葉に、やっと男の子は立ち上がり走っていった。
さすが、ヒーロー科……足は速い。

これなら、あの子が施設に着くまでは、こいつを足止めできる。

「ケホッ……おかしいな…あの薬ぶっこんで動けるなんて……」

「配合でも、間違えたんじゃ、ない？」

なんて、痩せ我慢だ。
耳鳴りが酷い。筋肉が震える。
視界も、もう、ほとんど見えていない。

でもこれは、意地だ。

相手の目的の一つは、推測できる。

ぼくの『生け捕り』。

なら少しでも、抵抗してやる…。

死なないなら怪我も苦痛も、多少の欠損も厭わない。

『お前が《誰》かなど、さしたる問題ではない
お前が《何を》するか、だ

一人で不安なら、俺達に頼れば良い
それが仲間だ』

ぼくの秘密を、打ち明けたあの日、あの人の言葉が、頭を過ぎる。

やだなぁ、走馬灯みたいじゃないか。