【WT→MHA】菊地原成代主と弾バカがヒーローを目指すNO.4 (ページ17)

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個性の無許可使用…でも、そんなこと言ってる場合じゃない！

幸いトリオン体に毒は無効。しかし、敵にバレないようカモフラージュでガスマスクは付けている。

ぼくは急に毒ガスが発生し苦しんでいるB組の子達の元へ急ぐ。渡して、走って、渡して…あと一人、ガスの範囲にいる最後の心音……！

しかし、それよりも早く、敵は、その子を、捕まえた。

「んんー、ラッキー！お目当ての菊地原チャンじゃん！」

お目当て？いや、そんな事より、敵に捕まった生徒だ。
敵の個性だろう、刃物状になった手で、首を掴まれている。
ガスの苦しさと突然の恐怖に懸命に耐えている。

首元にしっかり張り付いた刃物の手。

…ダメだ、どう救出しようとしても、彼は、死ぬ…相手は、それを分かった位置を、掴んでいる。

プロだ…。

ぼくが少しでも衝撃を加えようものなら、あの子の首は…胴から、外れる。

「いや～俺ってば超有能！いや、ラッキー？
あ、分かってると思うけど、動かないでねー？とりあえず、個性、解いてくれる？」

……そりゃ、バレてるよな…。

ぼくは慎重に、生身に戻る。

「聞き分け良いね～でも、個性なくても強いの、俺知ってんだー！ガスがあってラッキー！……そのガスマスクも外せよ」

ラッキーラッキーうるさい奴め…内心悪態をつくが、正直、焦っている。
ゆっくりガスマスクを外した。

途端、肺にくる、異物感。

冷静になれ…あの子の、命を助けるんだ…。

「ひゅー！かっこいいー！本当にガスマスク取っちゃったよ！」

「…代わりに、その子にこのガスマスクを付けてあげて欲しいんだけど」

ぼくは予備のガスマスクを、敵に見えるよう掲げる。交渉なんて、したことない…けど、お目当てと言いながらぼくを殺しに来ない辺り、他に目的があるはずだ。

「んー、イイヨォ、こっちに投げて
ゆっくりね」

指示通り、ガスマスクを投げる。

「良かったねー！菊地原チャンが君の代わりに苦しい思いをしてくれるって！」

男は人質となった男子生徒に片手でガスマスクを付けながら笑う。
…くそ、ダメだ、隙が生まれない。

「じゃあー、次はこっちの要求！いやぁ、スムーズに進められる俺ってば有能！

この注射器、こっちに見えるように自分の腕に刺して、中身を全部入れて？

そしたらこのコイツは解放してあげる！」

……注射器を投げられる。

…匂いからして、麻酔系…？いや、他にも混ざってる……ヤバイ。

「はーやーくー」

人質の男の子と視線があった。