【最.俺】狂気の王国成長記録【ガレキ牛、ア.ブ】 (ページ8)

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自分達のことが最優先。ページ8

(フジ視点)

紛争の光景がどれだけ恐ろしくても、それでも、俺たちは諦めることはしなかった。
言い方は悪いが、あの死体の様にならないように、俺たちは力をつけるんだ、と。

何より、俺たちもいつかは人を殺さなければいけなくなる。

俺は死体や死臭に関しては自分がゾンビだという事もありさほど時間をかけず慣れてしまった。

…それが良いことかは分からないが。

近くで紛争が起こると聞けば向かい、見学し、実戦の動きを学ぶ。
また、時々銃や弾丸をくすねた。

本来はそれらを拾って回収の人達に渡す事が仕事の一つなのだが、一つ二つこっそり持ち帰ってもバレることはなかった。
良心は痛むが、いつかこの村を出るとき必要になる貴重な近代武器だ。

今は俺の家に隠してあるが、もう少し力をつけたら射撃の訓練もしよう。

「あぁ！スラ太郎！！」

キヨの奇妙な言葉と叫びに思考がブツリと止まる。

「フジ！カノコ！みろよ！スラ太郎が！！」

キヨが嬉しそうにその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。
その様はとても身軽だ。

普段耳を隠していることも多いから忘れがちだが、猫だなぁ…。

飛び跳ねるキヨの足元には、小さなスライムの群れが同じ様にぴょんぴょんと…って、何してんの？！

「ちょっとキヨ？！それ大丈夫？！」

慌てて弓を下ろし短剣片手に駆け寄る。
しかし、キヨはゲラゲラと笑いながら俺に止まる様手を挙げた。

「へーきへーき！見ろよこれ、可愛くない？俺ちょー懐かれてない？なー！スラ太郎！」

「…明らかにそいつらキヨの事殺す気じゃん…小さいから痛くも痒くもないだけで」

カノコが呆れた様にキヨを見る…それには同意だ。

「え？！スラ太郎俺を殺す気なの？！そんなぁ！嘘だろスラ太郎ぉ！」

「スラ太郎って…安直すぎ…
それにしても、スライムってその大きさだとまだ動くんだね」

カノコが芝居掛かったキヨのオーバーリアクションを適当に流しつつスライムを観察する。
そういえば、今までスライムと戦うことは少なかったし、出会っても直ぐバラバラにしてたからなぁ…主にキヨとカノコが、偽物の剣でもよく斬れる！と嬉々として。

そんなことを思い出していると、日がもう沈みかけている事に気づく。

「あっ、二人とも、そろそろ帰らないと…」

「マジか！じゃーなー！スラ太郎！」

…あっさり過ぎるぐらいにスライムにとどめをさしたキヨに、苦笑するしかできない。

さらばスラ太郎…安らかに。