【最.俺】狂気の王国成長記録【ガレキ牛、ア.ブ】 (ページ21)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:13,511 hit

少し不用心。ページ21

(カノコ視点)

「えっと…君、大丈夫？」

「っ、う、うん……」

私が問いかけると、檻の中の男の子は怯えつつも返事をしてくれる。
一応敵意が無いことは分かってくれたのかな？

「驚かせてごめんね、今その檻から出してあげるから…」

檻を調べると、南京錠式の古いものだった。
鍵が見当たらないので、仕方なしに銃を出す。

「鍵を壊すから、耳と目を塞いでて？
危ないから出来るだけ離れてね」

私の言葉に、男の子は素直に檻の隅の方で耳を塞いで丸まった。
私はそれを確認してから、錠に銃弾を撃ち込む。

ヒラとフジが拾い集めた銃の部品から改良ひてくれたこの銃は、小さな見た目に反して相当な威力を誇る。
鈍い音を立てて錠は銃弾によって砕かれた。

檻の扉を開き、声をかける。

「もう大丈夫だよ、怪我はない？」

声をかけると、男の子はゆっくり私を見て…そして勢いよく抱きついて来た。
急なことで体勢を崩しかけるが、なんとか踏み止まり男の子を見る。

よほど怖かったのだろう。
年は私と変わらない様に見えるが…。

「ありがとう…っ」

震えながら私のお腹にグリグリと頭を押し付ける男の子に、思わず頭を撫でていた。
この感覚…覚えがある……。

可愛い…ヒラと初めて会った時のあの感じだ…。

思わず同じように抱きしめそうになるのを抑え、男の子を宥めた。

「私はカノコ、一緒に来てくれる？」

「俺はレトルト…うん、カノコちゃんと一緒に行く…っ！」

さらにギュッと力を込め私に抱きついて来たレトルト…レトくんの頭を撫で回した。
くすぐったいよとはにかむ(様に見えたが仮面で表情は分からない)レトくんの可愛さに私の心臓はドキドキだ。

これは…思わない…幸せである。

レトくんは人前に出ることを怖がっていたので、私のフードを貸して姿を隠すことで一緒に町に戻った。
報酬を貰い、一時的に借りた宿に戻る。

「レトくん、まずは手当しよっか」

「う、うん…」

取り敢えずレトくんの体は擦り傷や打撲だらけだったので、消毒して行く。
近くで新しい服も買った。
それにしても…あの盗賊達は、なぜレトくんを攫ったのだろう…？

人売りならもっと大量に捕まえるだろうし、子供一人だなんておかしな話だ…。
まぁとりあえず…。

「レトくんは、誰かと一緒だった？」

「え？！カノコちゃん、アブさんのこと知ってるの？！」

…レトくんが悪い大人に騙されないか心配になった。