【最.俺】狂気の王国成長記録【ガレキ牛、ア.ブ】 (ページ19)

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白衣の男。ページ19

(カノコ視点)

「いやぁ～助かったよ、ありがとう、命の恩人がこんなに可愛い女の子だなんて俺はなんてツイているんだろう！
そう、あれはまさに天の助け、運命的出会い、そしてそこから始まる二人のラブロマンス…」

助けた(？)男は自己紹介を終えると、文字通り水を得た魚の様に不思議な言葉で感謝を伝えてくれた。
言っていることの半分も分からないが、元気そうで何よりだ。

「えっと、アブさん？」

「何かなカノコちゃん？！」

一人芝居がかった動作で語っていた白衣の男…アブさんの名前を呼ぶと、すかさず私の手を両手で握り正面から見つめられる。

「元気そうで安心しましたが…あの、何があったんですか？」

「あ…あー、そうだね…」

私の言葉にアブさんは座り直して落ち込む様に俯いてしまった。

「うーん、何と言えば良いか…
ちょっと理由があって、人に襲われて…それが原因で一緒に来てた友達と逸れちゃったんだよね」

歯切れの悪さから、人には言えない事情があるのだろうと察する。
しかし襲われたとは物騒な話だ。
目の前のアブさんが悪人の様には見えないし…。

「そうだ、カノコちゃん、もしも白黒の仮面を付けた男の子を見かけたら、保護してくれない？」

「ほ、保護…？」

アブさんの妙な言い回しに困惑する。
というか、仮面をつけた男の子だなんてなんとも悪目立ちしそうな容姿だ。

「うん、ちょっと人見知りな子で…一人だと何するか分からないんだよね
俺はまた探そうと思うけど、見かけたら、程度でいいから…ねっ？お願い！」

必死に手を合わせ頭を下げられ、無下にできない。
まぁ、賞金首稼ぎに王都を歩きまわる予定だし良いだろう。

「…分かった、仮面を付けてる男の子ね…もしも見つけたら声をかけて見るよ」

「本当？！ありがとう！！」

感極まった様にアブさんに抱きしめられる。
同時に、石鹸や消毒液の様な匂いが鼻腔をくすぐる。もう一つ、覚えのある匂いがするのだが…何だろう？

「ちょ、ちょっとアブさん！力強い…っ、よ！」

まるで締め付けられる様な抱擁に声を出せば、アブさんは慌てて放してくれた。

「でも、私がその子を保護？できたとしても、連絡手段なんて無いよ？」

「大丈夫！その時はわかるから」

「…？」

自信満々なアブさんに、本当に不思議な人だと思いながらもそういうものなのだなと納得することにした。

聞いても教えてくれそうにないし、仕方ない。