【最.俺】狂気の王国成長記録【ガレキ牛、ア.ブ】 (ページ12)

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森の中～、ページ12

(カノコ視点)

「本当に家だ…」

「な？言ったろ？」

少し歩けば直ぐにキヨの言った家が見つかった。
少し古そうだが、モンスターに襲われた様な傷などは一切無い…不気味だ。

「じゃあ…作戦通りに」

私の言葉に二人は頷くと、キヨは扉から死角になる家の直ぐそばに、フジは近くの木の影へ隠れた。

私は家の扉の前に立つと、小さく息を吐く…大丈夫、いつでも動ける。

ノックを二回。

「ごめんください、どなたかいらっしゃいますか？」

「びゃん？！」

…な、何、今の……声…悲鳴、だろうか？
驚かせてしまった…？

「あ、あのー、すみません、こちらに敵意は有りません、良ければ少しお話しできないでしょうか…？」

少し声を張りつつも、キツくならない様に気をつけてもう一度声をかける。

すると、中から何やらバタバタと音が聞こえ、扉の前まで人の気配が近づいて来た。

少し扉から身を離し注意する。

少し間を置いてから、小さく扉が開かれ、黒い影が小さく頭を覗かせた。

「あ、あの、お待たせしました、す、すみません、人が訪ねてくるなんて初めてで…驚いてしまって…」

モゴモゴと話している影をよく見れば、私達と年は変わらなさそうな男の子だった。
なぜか顔を黒い覆面で隠している…。

「あ、あの…？」

何も言わない私を疑問に思ったのだろう、困った様に上目遣いでこちら見てくる。

…自分の心臓に妙な違和感。

なんだろう、この、言いようのない、感覚…。

「…かわいい」

「え？！」

そう、可愛い、だ！

この時の私はまだ知らないが、これが私の可愛いもの好きに拍車をかける出会いだった…。

「えっと…あ、ありがとう？」

「～ッ！！」

「へぇ？！なに？！？！」

急に可愛いだなんて口走った私に対して困った風にしつつも、わけのわからない表情のままお礼を言ってくる男の子を思わず抱きしめてしまった。

天使や…この子は天使なんや…。

「ちょっとちょっとぉ！何してんの？！」

フジが大慌てで駆け寄ってくる。
自分でも軽率だと思う…しかし本能には抗えなかった…こんなこと初めてで自分でも困惑している…。

なんて考えながらも男の子の頭を撫でる。
髪の毛ふかふかやぁ…。

「いや、マジでカノコどうしたの？」

キヨも困惑の表情で顔を出した。
まぁ、相手も同じく敵意が無さそうなのでとりあえずは安全と判断したのだろう。

「わぁ、お客さんが3人も！」

男の子がフジとキヨを見て、少し嬉しそうにはにかんだ。