君色に染まる【浦島坂田船】【短編集】

White X'mas【志麻】 ページ33

チラチラと雪が降り始める街並み。


俺はAと二人でイルミネーションで飾られた街を歩いていた。


「綺麗やね」


「そうやな」


「ここのイルミネーション、好きやなぁ」


Aと付き合い始めて丸五年。


毎年ここのイルミネーションに来ている。


そういや、告白したのもここやったっけな。


「雪が降ってたら尚更やね」


「ホワイトクリスマスか」


「高知ではそんなこと滅多になかったからなぁ。寧ろ雨？」


そう言ってくすくす笑うA。


確かに、高知は結構暖かくて、クリスマスに雪が降るなんてこと滅多になかった。


まず、雪が降ることがほとんどないもんな。


そう考えたら、二人で東京に出てきてからは相当な驚きだったよな。


「雪はいいけど、寒いね」


「そうやな」


そう言ってマフラーに首を埋めるA。


しばらく沈黙で歩く。気まずくはない、なんかよく説明できないけど。


「わぁ、おっきい」


Aのそういう声が聞こえて上を見上げると、大きな樹が沢山のイルミネーションでお洒落になっていた。


「さっきのも綺麗やけど、これのほうが綺麗かも」


「うん」


でも俺としてはイルミネーションに照らされているAのほうが綺麗で。


しばらく見とれていると、Aがこっちを向いて何？ と笑うから少し恥ずかしくなって下を向いた。


「さあて、もう帰ろっか。寒いし」


Aはくるりと向きを変えてさっき来た方向を戻り始めていた。


「A……！」


「ん？ どした？」


Aに近寄る。


「あの、さ。一生泣かせないから、結婚してください」


「え……？」


当然、Aは固まる。


そりゃそうだよな。いきなり言われたら困るもんな。


恥ずかしすぎて、早口で付け足した。


「いや、返事は後日でいいんやけどさ……」


「嬉しい……。私で良ければ……」


付き合って五年目にして、ようやくプロポーズができた。


一生、幸せにするからな。


絶対離さないから、覚悟しとけよ。

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