大和守安定 × 加州清光 ページ3
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※破壊表現注意
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お前との試合なんか簡単だよ、″清光″。
間合いを取って″清光″を睨む。いつも見ている顔。でも、今日は勝手が違う。
外見にこれといった変化はない。けれど、″清光″が清光じゃない。
″清光″は僕を見て余裕そうな笑みを浮かべている。多分、僕が清光を斬れないと思っているんだ。
ばかだと思った。
「ほんと、ばかだろ。敵に取り込まれたりなんかして」
「本当、馬鹿だよなあ? この″男″も。あんたを助けるために取り込まれたとか? あんた、愛されてんだなあ」
くくく、と笑う″清光″は気持ち悪かった。
「その声で、その容姿で。僕に向かわないでくれ。そして、そいつの悪口を言っていいのは、僕だけだ」
おらぁ!! と″清光″に向かう。″清光″は狂気を含んだ笑みで清光本体を振り回した。当然、清光とは別人だから戦い方も違う。けれど、大元は同じだ。だって清光の体なんだから。
「おらおらおら!」
「そんなに本気で向かっていいのか? この″男″も斬っちまうぜ?」
ああ、そうだ。清光を『折る』。
それが最善の策だ。清光なら許してくれるだろう。
「沖田譲りの冴えた一撃!」
僕の刃が清光の体にめり込んでいく。そして__。
「ぐっ、ぐはっ」
振り向いて″清光″を見る。僕の斬った部分が真っ赤な一筋の線になっていた。そこからじわじわと服に染み渡っていく。″清光″の周りには、春でもないのに桜が舞っていた。
清光に入っていた敵は破壊できていたようだった。
僕は目をそらした。ここからは何も見たくない。
後ろで、ぱあんと音がし、清光の破片が飛び散った。
そして、破片が戻った。
そこでやっと僕は振り向いた。呆然としていた清光がそこにいた。
「あれ、敵は?」
「破壊した」
「……はああああ」
「なんだよ」
「疲れた」
「それは僕もだ。お前があんなこと言うからこっちは怖かったんだぞ」
「それはごめんって」
清光は一度『破壊した』。そして、阻止された。
清光はごそごそと懐を探り、はい、と渡してきた。
「ありがと。お守り」
「僕が持っていなかったらどうするつもりだったんだよ」
「んー、そんなこと考えないよ。お前が結局助けてくれるって信じてたから」
「……帰るぞ」
「はーい」
爪紅がはがれたなんて言っている清光を見る。やっぱり、お前の居場所はここだよ。
__もう、絶対に離さない。
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しばらく浮上していませんでしたすみません。
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終わり ログインすれば
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作者名:廉火 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Konatu0602/
作成日時:2019年5月8日 3時