パートナーが闇落ちした件。【短編集】 (ページ2)

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燭台切光忠 × へし切長谷部ページ2

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「長谷部くん、迎えに来たよ」

　そう言って、目の前の奴は微笑んだ。ある秋の夜だ。

「何故」
「何故って、長谷部くんが欲しいからだよ」

　うっすらと開いた瞼から"真っ赤"な瞳が意味ありげに俺を見つめる。それに対して俺は睨み返す。すると、燭台切は嫌だなぁ、と笑った。

「そんなに睨まないでよ。僕と長谷部くんの仲でしょ？」

　光忠と俺は恋仲だった。愛し合っていた。だから今のお前は嫌いだ、燭台切。

「さあて、主くんに見つかる前にさっさと退散しちゃおう。おいで、長谷部くん」

　月明かりに照らされ、紅い瞳が綺麗に光る。燭台切は手を差し出し、俺が手を取るのを待っている。
　＿＿その周りには、歴史修正主義者の短刀が飛び回っていた。

「俺は最期まで主にお仕えする。お前と行く気はない」
「そこまで断言されてもねえ……。でもね長谷部くん。そうなれば力づくだよ」

　その言葉を合図にしていたかのように短刀たちが俺に向かってきた。防御し、斬る。防御し、斬る。しかし、数が多すぎて全部倒すことができない。
　短刀に向けて中段で構えていると、突然視界が閉ざされた。かと思うと、耳元に吐息がかかる。

「背後、がら空きだよ？」
「なっ……」

　その時、廊下をバタバタと走ってくる音がした。きっと、対戦時の音を聞いて来たんだろう。
　早く、早く助けてください、主。
　しかし、その思いも虚しく。

「まだ主くんに固執してるの？嫉妬しちゃうなあ」

　耳元で囁かれるから、それだけで感じてしまう。視界が遮られているから尚のこと。しかも、光忠は執拗に耳を攻めてくる。

「長谷部くん、耳弱いよね」

　意地悪そうに耳元で囁く燭台切。図星であり、顔に熱が集まるのはわかったが、今、自分がどのようになっているのかはわからない。
　それが繰り返され、俺の意識はうっすらと遠のいていた。息が乱れる。皆に見られているかもしれない。だが、これを抑えることはできなかった。
　そして＿＿。

「おやすみ、長谷部くん。これで君は僕のもの」
「光忠」
「じゃあね主くん。もう会うことはないと思うけれど、会うとしたら」

　＿＿僕がこの本丸を潰すときだよ。

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一緒に堕ちるのもいいよね(白目)

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