一期一会【刀剣乱舞】 (ページ18)

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和泉守兼定ページ18

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「……和泉守、その、前はありがとう。おまんじゃろう？看病してくれたんは」
「……おう」

　数日前のことが思い出され、恥ずかしくなる。あの日、俺は陸奥守に『好きだ』と言った。しかし、すぐに正気に戻ったが、陸奥守はやっぱりまだ頭がぼーっとしていたようで、『わしも』と答えた。
　が、幸いなことにあの日のことを陸奥守は覚えていないらしい。そのまま思い出さないでくれたらいいのだが。

「わしも頭がふわふわしてなあんにも覚えちょらんけど……」
「……そのままでいてくれ」
「なんか言うたがか？」
「いや、なんにも」

「＿＿夢を見ちょった」

　おかしいと思ったんだ、陸奥守がこんなに話しかけてくるのは。陸奥守が俺の前で嬉しそうな顔をするのは。
　短刀たちが水遊びをする声が庭に響く。水の音、短刀の声、蝉の声が遠くなる。

「誰かに『好きだ』って言われる夢」
「……え」
「びっくりするじゃろう。わしは何を思ったか『わしも』って言うた。多分わしは、そいつをもう許しちょるんやと思う」

　そう語る陸奥守は、愛しそうに目を細めて、うっすら口許に微笑を浮かべて、嬉しそうだった。
　俺は何も言わずに聞いていた。その、陸奥守が『夢』だと言い張る話を。

「……でも、おまんの考え方は古い。と、今でも思う」
「そうかよ」
「ああ。わしは今の今まで、おまんを避けてきた。おまんが嫌いと思い込んどったんじゃ。でも、違うと分かった」
「……」
「今は、おまんと一緒におりたいぜよ」

　向けられた笑顔は、俺の見たことのない陸奥守の心からの笑顔だった。

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