一期一会【刀剣乱舞】 (ページ16)

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和泉守兼定ページ16

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　しかし、いざとなるとどうにも行動ができない。先程から陸奥守の部屋の前をうろうろしている。不審者みたいと言われても仕方がないが、どうすればいいのか分からないから、大目に見てくれ。
　ずっとうろうろし、入ろうか迷っていると、乱が近くを通りかかったようで、和泉守さん、と声をかけてきた。

「こんなところでどうしたの？陸奥守さんに用事？」
「え、あー……」
「入るなら入っちゃえば？陸奥守さーん」

　空気を読んだのか読んでいないのか、陸奥守の部屋の襖を思いきり開いた。そこには、陸奥守と同じ部屋の南泉一文字しかいなかった。

「陸奥守ならどっか行った。にゃ」
「どこ行ったの？」
「さあ？でも縁側にでもいるんじゃないか？」
「ありがとう。そうだって、和泉守さん。ボクは南泉さんと遊ぼうっと」
「和泉守が用事あるのか？なら、さっさと行ったほうがいいにゃ」
「ほらほら、いってらっしゃーい」

　俺を部屋から押し出し、乱が笑顔で手を振る。そして、襖が閉められた。
　……行けってことか。
　長い廊下をただ歩く。途中で他の奴らに出会いながら、縁側へと向かう。

　縁側で、陸奥守はいた。団子を食いながら遠くを見つめている。
　そっと隣に座ってみる。が、気づかない。庭では、短刀たちが水遊びをしている。それを見ているのか、遠くの山を見ているのかはわからないが、とにかくぼーっとしている。
　数分ほど声もかけず様子を見ていたが、気付く気配がない。仕方がないから声をかけた。

「陸奥守」
「……」

　やっと此方を向いたかと思うと、いきなり俺の腕に倒れ込んだ。苦しそうな顔をして、息が荒い。
　＿＿これは、風邪ってやつか？
　とにかく、部屋に運ばねぇと。

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