一期一会【刀剣乱舞】 (ページ14)

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和泉守兼定ページ14

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「和泉守、最近なんかあった？」

　清光が爪紅を塗りながら、聞いてきた。俺と国広が清光と安定の部屋に居座っているときだった。
　清光は変わらず爪紅を塗っているが、安定と国広は驚いた様子で清光と俺を交互に見る。
　自分で塗った爪紅を見つめながら、清光は言葉を続けた。

「だってさぁ、和泉守分かりやすいんだよ。陸奥守がいると挙動不審だよね」

　どうなの。
　清光は初めて俺を見た。赤い瞳が俺を捉える。気だるくも力強いその瞳をずっと見ていられなくて、目を逸らす。

「俺は……」

　続く言葉が浮かばなかった。
　＿＿何て言えばいい？
　認めたくないのは相変わらずで、陸奥守も冷たい態度を変えないから、少し苛立ちも最近混ざってきた気がする。でもそれは、気持ちが暗くなるような苛立ちじゃなくて。うまく言葉が紡げない。

「……俺は」
「まぁ、言えないんだったら別に言わなくてもいいんだけど」

　清光はそう言ってすくっと立ち上がった。障子に近づき、障子を少し開けた。そして、少しだけ此方を向いて、真剣な顔で言った。

「まぁ、何にせよだよ。早めに片しとかないと、面倒臭いよ」

　清光が部屋から出、障子が閉められた。

　清光のあの言葉は、何日経っても消えることは無かった。

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