好きな人に恋愛相談された【佐野万次郎】

12話 ページ13

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やだもう死にたい。




全部言ったはいいけど、やっぱり残ったのは罪悪感と恥ずかしさだけ。








もう合わせる顔なんてない。


今すぐに逃げ出したい。









そんな私に、また優しく声をかけた。









「...恋のキューピット(オマエ)の恋が叶わねぇなんて、誰が言ったのか知ンねーけど。









...そんなの、誰が決めたんだよ？」









そう言ってそっと握られた手の中にあったのは、



前に見た、キーホルダー。









『...えっ、これ...って、今なんて』


「あーあ、まさか先越されるとは。グダグダになっちまったワ」








言葉を遮るようにしてため息をついた。だけどふっと笑った佐野くん。









「ずっと、ずっと好きだった。俺だけのモンになってくれねぇかな」









金髪を揺らす彼が、確かにそう言った。




私に向けてハッキリと。







......え？私に"向けて"？？？









『ごめん、ちょっと今パニクってるの。今のは練習？？』




「なわけねーじゃん。どこまで鈍感なワケ？」








楽しそうに佐野くんは笑うけど、本当に今混乱してる。


全然話に追いつけない。でも、このキーホルダーは...








「それ、サプライズな」


『今の状況がサプライズすぎてよく分かんないからちょっと待って』







ひとまず落ち着こう私。


何が起こってるのか分かんないけど、これって夢？？




だって、佐野くんが好きな子は私とは真反対の子で...







「...何、信じてねーの？」


『...うん、信じてない』


「んじゃもっかい言うか」








しょうがねーなって呆れたように笑ったかと思えば、頬に触れる彼の柔らかい唇。







「好きだよ、A。俺のカワイイキューピット」







耳に佐野くんの息がかかって、思わずビクッとなる。





ワンテンポ反応が遅れる私を置いて、嬉しそうに彼は問いた。







「Aは？俺のこと好き？？」


『...ものすごく、好き』


「ん、俺も♡」







ぎゅっと抱きしめられたかと思えば、甘くとろけた声がまた届いた。









「俺の恋、叶えてくれてありがとーな」








幼い少年のような笑顔を向けられて、思わず口元が緩む。










...恋のキューピット、ただいま混乱中です。

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