53:どこまでも二人で ページ7
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傑が連れていくと明言してくれたとき、不安と同時に安堵が胸に押し寄せていた。
きっと何かしらの危険は伴うだろうに、私を隣に置く決断をしてくれたことが嬉しかった。
ふと、五条くんのところに行くのかな、なんて考えがよぎる。
傑の考えていることは私なんかには分からない。でも、私のことを想ってくれていることだけは何も言わなくても理解していたから。
彼の望むことを、彼の選択した行動を、隣で見守っていたい。
家族達と会話を交わす傑を横目に一瞥して、そっと彼の裾を握った。傑のことを考える度に、何故か不安だとか負の感情が消えていくような気がして、ただ触れていたかったから。それに応えてほしいだとか、そんな我儘は元からない。なのに傑はいつも、私に甘すぎる。
「そんなところ握ってないで、ほら」
いつの間にか私に目線を向けた彼が、誰の耳にも届かないようにそっと呟いた。気づかれないように握っていた指先を取られ、彼の大きな手と絡み合う。そのまま言葉を口にする隙も与えてもらえず、また傑は家族達に向き直した。
何食わぬ顔をしている彼、気づかないフリをし続けてくれている家族の皆。そして、目のやり場を失くした私。
どうしようもなくなって、話の内容なんて脳内に定着してくれなかった。
＿＿＿＿＿
「さぁ、そろそろ行こうか。....大丈夫、何があっても私以外の人間に触らせたりなんてしないさ」
『ふふ、うん分かった。じゃあ私も、傑だけを見てるからね』
いつしか、少し前から視界に映るようになった見えるはずのない"何かが"薄らと私の前に現れる。傑が昔言っていた"変なモノ"の正体だと、私は直感的に理解していた。
きっとあの、原因の分からない病に苛まれたことが関係していると、このことを知った傑は心配そうにしていたことを覚えている。でも私は、傑にまた一歩近づけたようで嬉しかった。
中々こんなこと彼を想えば口にはできないけれど。でもいつか、傑の望みが叶ったときに言えたらな、なんて。
遠くで響く傑の声。一人だけ取り残された、皆が言う"呪霊"の中でひっそりと耳を傾ける。百鬼夜行という聞き馴染みのない言葉。その意味をじっと考えてみる。
「＿＿＿A、君の出番だよ。おいで」
やがて聞こえた彼の合図に、私は思考を止めた。差し伸べられた手を取り、知らない景色を目の当たりにする。
....たった一人の知り合いを除いて。
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むぎ(プロフ) - AO777さん» わ、ありがとうございます…!!!😭そう言っていただけて嬉しいです、何卒今後もよろしくお願いします☺️💕 (10月21日 0時) (
レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - むぎさんのどの作品も物語がまとまっていて大好きです！陰ながら応援させていただいています。次話の更新が楽しみです！ (10月20日 21時) (レス) @page6 id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2023年10月7日 8時
