52:一人は寂しいよ ページ6
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例のことがあってから、元々分けていた寝室は自然とひとつになっていた。何を言わなくとも傑と同じベッドで眠り、朝は暖かい肌に触れて目覚める。
彼が言うには、いつ私が目の前から姿を消してしまうかが眠れなくなるほどに不安になってしまうらしい。
私のせいで傑に余計なストレスを与えてしまっているのが心苦しい。でも私も彼と同じように、いつこの手が離れてしまうか分からない日々を怖がっていた。
「手を、握っていてもいいかな」
傑は決まってベッドの中でそう呟く。頷けば一回り近く大きな手に埋もれ、安堵したような彼の表情が愛おしい。
離れたくない、離したくないのはずっと前から変わらないのに、再会したてのように傑はやけにべったりと私に引っ付く日々が増えた。
最近では一人で留守番をしていることも多かったというのに、何処に行く時も私の手を離さなかった。
「何があっても私が守る。だからずっと側にいてほしいんだ」
私を傷つけないように、置いて仕事に出ていた彼がそう言って私をどこにでも連れ出すようになったのは、正直幸せでしかなかった。
傑がいないところで死にたくなんてない。どんな災難が降りかかろうと、隣に彼がいてくれるのなら怖いことなんてない。
....一人で抱え込んでしまった日々を振り返って、私はもう一度強くそう思った。
＿＿＿＿
着々と日々は過ぎ、取り巻く環境の変化に慣れる頃にはもう11月の中旬に差し掛かっていた。
「家族皆、揃ってるね。全員会ったことはあったかな？こちらが私の命よりも丁重に扱うべき女性、Aだよ」
『....傑、ちょっと大袈裟、かな』
「私は至って真面目さ」
仲間達の前で堂々と私の腰に手を回す傑と、久しぶりに恥ずかしさというのを覚えた私。
そして、物色するように私を見つめる人が数人。大体の人達は私との交流も深いからか、彼らが忌み嫌う"猿"としての認識は、ほとんどなかった。
というよりも、傑への信頼が全員揃って厚いというのが一番の理由ではある気がする。
「あら、Aちゃんも連れていくの？」
「私のいない間に何かあっては嫌だからね。大丈夫さ、見せびらかしたりはしない」
"例外を除いてね"
そう笑う傑の横顔をこっそりと見つめる。何を考えているのか、簡単には分からない。それでも私の中に不安だとか心配だとか、そんなものは存在していなかった。
「大丈夫。さぁ行こうか、A」
手を差し伸べてくれる彼以外、何も見えない。
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むぎ(プロフ) - AO777さん» わ、ありがとうございます…!!!😭そう言っていただけて嬉しいです、何卒今後もよろしくお願いします☺️💕 (10月21日 0時) (
レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - むぎさんのどの作品も物語がまとまっていて大好きです！陰ながら応援させていただいています。次話の更新が楽しみです！ (10月20日 21時) (レス) @page6 id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2023年10月7日 8時
