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51:秘め事と液晶と ページ5

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「それじゃ、硝子との会話は私も隣で聞いているけどいい?」


『うん、勿論だよ』





傑の言う"硝子"という女性は、私のことを救ってくれた張本人だ。電話先でもいいからお礼がしたいと無理を言って話すことを許可してもらった。

硝子さんは傑の高校時代の同期だったことを聞き、同い年だと分かった上で電話をかけたからか、彼女の口調からでも分かる大人ぶりはより輝いて見える。






「__とにかく、目が覚めて良かったよ。えっと....Aちゃん、だっけ」

『はい、この度は本当にありがとうございました。硝子さん』






彼女はこうやってもう一度電話がかかってくることは想定していなかったらしい。どうやら、すぐにでも番号を変えることすら推奨するほど。
悟くんと同じ立場にいる人だということは徐々に分かってきていたけど、硝子さんと彼は根本的な何かが違うように思えた。その正体に気づけるほど、私は彼らのことを全くと言っていいくらい知らないのだけれど。

けれどどこか姉御肌というか、頼りたくなるような気を放っている人だ。いつか直接会ってお礼が言えたらいいのにな。






「夏油が珍しく私なんかを頼るから何事かと思ったけど、よっぽど大事に思われてるんだね。久しぶりにアイツの人間らしいところが見れた気がするよ」






そう笑う硝子さんの声に携帯を握る力が自然と強まる。傑の方を一瞥すれば、小声で「その通り、大好きさ」なんて笑うから、思わず携帯の方へ気を取り直した。

聞こえてたんだと少し恥ずかしさが募ると同時に、彼の思いが伝わってくる。私がそれにきちんと応えられているか、少し不安になるくらいに。



私の羞恥心が通話先の硝子さんにまで伝わったのか、彼女はまた軽やかに笑っていた。
けれど少しして、雰囲気が一変したのを感じ取る。







「....それはそうと、今回の件の詳細は夏油から聞いた?あれだったら今私から___」

「硝子。すまないがそれについては、ちょっとね」







すかさず割り込んできた傑が、いつの間にか身を乗り出して携帯の画面をその大きな手で覆っていた。
声を上げるより先に彼の柔らかな唇が私の額に触れて、そのまま私の手から携帯が滑り落ちていく。

聞こえなくなった硝子さんの声を傑は拾い上げ、話をすり替えるように彼女と軽く言葉を交わし、通話は切られてしまった。






「さぁ、もう遅いから」





眠ること以外、選択肢を与えられないまま。

52:一人は寂しいよ→←50:愛の終着点



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むぎ(プロフ) - AO777さん» わ、ありがとうございます…!!!😭そう言っていただけて嬉しいです、何卒今後もよろしくお願いします☺️💕 (10月21日 0時) (レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - むぎさんのどの作品も物語がまとまっていて大好きです!陰ながら応援させていただいています。次話の更新が楽しみです! (10月20日 21時) (レス) @page6 id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2023年10月7日 8時

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