31話 ページ31
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2007年12月26日
そう記されたカレンダーがふと目に留まった。少し遠くからする沸騰音。夏油からの声かけに答える間も目がそこから離せなかった。もう、彼が私達の元から去った日から数ヶ月も経過して、更には年を越す目前まで来ていることにあまり実感が湧かなくて。
このまま時が止まればいいのにと、鼻を掠めた彼の残り香を愛おしく思いながら願う。今となっては、確証のない明日が来ることが一番恐ろしかった。
「昨夜は窮屈だっただろう、体痛めたりしてないかな」
『....大丈夫、寒くなかったから』
「それなら良かった」
そう言って頬を綻ばせ微笑んだ彼は、私に淹れたてのココアを手渡して自然と隣に腰を下ろし、こたつへと入ってくる。昨夜交わした会話も、握り合った手も。私達はお互いに知らないフリをする。たとえ一線を超えなかったとして、もう引き返しのつかないところまで来ているのは分かっている。それでも、無法地帯にするのとは話が違うのだから。
それに私はまだ、何もかもに自信がない。
「今日はいつ帰る予定？私も合わせるよ」
『冷え込む前には。昼過ぎとか』
「なら昼食は一緒に摂ろうか。帰りに防寒具も貸してあげよう」
ただ淡々と、事務的な会話を繰り返す。思えば少し懐かしいような気もして、短い会話の節に身に覚えのある暖かみを感じていた。
『お節介なんだけど』とか、『勝手にすれば』とか。湧き上がる熱に惑わされてまともな思考もできなかった私は、よくそんな言葉を投げ返していた。
きっと、少なからず彼は傷ついていた。今更何を言ったって都合がいいことは分かっている。こんなやり方、ただの自己満だろうと。
『....うん、ありがと』
些細なお礼の言葉すらも、こんなに喉の奥が震えるなんて知らなかった。それだけ私は普段から素直になれない人間で、いつも貴方を困らせて。なのに少しでも気持ちが伝わればなんて、あまりにも身勝手なことなのに。
相変わらず彼は、ただ何かを噛み締めるように笑っては私の肌に触れるから、もう何が正解なのかなんて分からなくなる。
ねぇ、そんなに私のことを好きでいてくれてるの？
どうして？こんなに、最低で自分勝手な人間なのに。私を満たすような演劇に付き合っているだけなら早く言ってよ。まだ、心を殺せば辞められる。....なのに。
「もう少しだけ....触れていても、いいかな」
『やだって、言ったら....？』
「....嘘が下手だよ」
全部、キスに閉じ込められてしまう。
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むぎ(プロフ) - カナさん» 素敵なお言葉、大変嬉しいです!!!!☺️私も二人の幸せを願ってやみません、どうか一緒に最後まで見守っていただけると幸いです。 (1月29日 23時) (
レス) id: 1e000180a9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 切なすぎて最後がくるのが待ち遠しい反面悲話にならないで欲しいとただひたすらに願っています。それくらいこのお話が大好きです。 (1月28日 21時) (レス) @page41 id: cd1392beae (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - りんごさん» 嬉しいです!!!ありがとうございます🙌💗 (11月9日 1時) (レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 引き込まれました、凄く好きなお話です！ (11月7日 0時) (レス) @page26 id: 96e8a3b79d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2023年10月20日 18時
