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25話 ページ25

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備えつけてあったシャワーを浴びて、夏油のものであろう衣服に腕を通していく。下着類は離れたところにあるコンビニで揃えていた。

元々ゆっくりしたいが為に二日間の休みを申請していたから良かったものの、流石にこんなことになるなんて想像もしていなかったせいで色んな意味で準備ができていない。
でも夏油は、そんな私にはお構いなしだ。恋人同士と言ってもおかしくないような甘さが、どれだけ時間が経っても薄まることもなく錆角してしまいそうになる。



「身体が冷えてしまうよ、こっちにおいで」



そう言って畳を優しく叩いた彼に誘われて、濡れた髪から滴る雫をタオルで拭い暖を求める。一人用にしてはかなり大きい気がした。どちらかというと、家族用。二人で使うにしても広さを感じる。
それでも彼の横に腰を下ろしたのは、確実に気が緩んでいるからに違いない。部屋にはよく言う娯楽の為のテレビだとか、そういうものは存在してなかった。だから口を開かない限りは沈黙が続くだけ。それを分かっているから、きっとそばに寄りたかった。



「....あったかいね」

『まぁ、それなりに....』



そう言いながら、こたつの中で暖を取る私達は互いに肩を寄せていた。今にも触れてしまいそうな距離で、視線は逸らして。けれど畳についた手は、いつしかそっと重なり合っていた。何を言うわけでもなく自然と。ただ他人事のフリをして、目に見える位置ではまだ互いの立ち位置を守っている。いつそれが壊れてしまうかなんて考える余裕もなかった。こうしているだけで、満足だった。
夏油も同じように思っていてくれたのか、重なった手が優しく握られて僅かに指が絡み合う。それでも口では変わらず身の上話をして、ここに通えなかった経緯なんかもご丁寧に説明して。彼の相変わらずのポーカーフェイスの上手さに隠しきれていない、赤く染まった耳が愛おしい。

....私が寝てしまったあの日、一瞬でも触れてくれたことを喜ぶのは場違いだろうか。



「今日ここに来たのは賭けのようなものだったんだ。いつにも増して、Aに会える気がしてね」

『....変な人。そういうの、誰にも言わないでよ』



"私以外、貴方の心に居させないで"



そう続けそうになった口を噤む。浅く息を吸い、目を伏せた。
瞳の奥がじんわりと熱を帯びる。薄く開いた瞼の先に見えるのは、どうしようもない現実。



『私まで処刑対象になるなんて、笑えないんだから』



殺した嘲笑は、貴方の目にどう映ってる?

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むぎ(プロフ) - カナさん» 素敵なお言葉、大変嬉しいです!!!!☺️私も二人の幸せを願ってやみません、どうか一緒に最後まで見守っていただけると幸いです。 (1月29日 23時) (レス) id: 1e000180a9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 切なすぎて最後がくるのが待ち遠しい反面悲話にならないで欲しいとただひたすらに願っています。それくらいこのお話が大好きです。 (1月28日 21時) (レス) @page41 id: cd1392beae (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - りんごさん» 嬉しいです!!!ありがとうございます🙌💗 (11月9日 1時) (レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 引き込まれました、凄く好きなお話です! (11月7日 0時) (レス) @page26 id: 96e8a3b79d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2023年10月20日 18時

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