当て馬だって頑張ってます【呪術廻戦】

10:甘く喉を殺して ページ10

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「あれ、こんなところにいたんだ2人共」




悟の前から逃げ去った途端、傑と硝子がわざとらしく声をかけてくる。

分かってたくせに、と文句を言えば「なんのことかな」の一点張り。ずるいにも程がある。





「流石私の嫁。煽られても大人な対応してて偉いじゃん」

『だろー！？なのにこの五条悟とかいうやつが全部言っちゃったの！』

「は？言ってもらったの間違いだろ」

『うんめちゃくちゃスッキリした』






私よりもクレープの減り具合が大きい2人に追いつくため、話しかけられた時間を取り戻すようにかぶりつく。

さっきよりも甘味が強い気がした。









＿＿なんでアンタなんかがこんなイケメンと....！






ふと、悟から逃げるように去っていくときに女のかがぼそりと落としていった捨て台詞を思い出す。


なんだかここだけ切り抜くとどっかの漫画のヒロインみたいだ。悪女が嫉妬して逃げていくみたいな。





悪女、という言葉があまりにも当てはまってしまって小さく笑ってしまった。







「これ食べたらどこに行こうか。Aはたこ焼きでも食べたいっていう顔をしているね」

『クレープだけでもかなり胃にくるのにまだ炭水化物取らせる気なん？』






太らせたいの？と問い詰めると「ふくよかな君も可愛らしいと思うよ」なんて言うから照れて何も言えなくなる。


絶対こういう人間のことを本物の誑しっていうんだ。お手本みたいな奴が身近に多すぎる。







「俺思ったけど、男癖悪いんじゃなくて単純に陰キャだから断れないだけだろコイツ」

『さっきまで助けてくれてたくせになんですぐ敵に回ることばっか言うの？苛めて楽しい？』

「胃もたれするくらい楽しいわチビ」






高校生にもなって人通りの多い中で堂々と口喧嘩する人なんて目の前の長身イケメンクズ野郎くらいだ。





挙句の果てに、疲れたし帰ろうなんて遊園地に来たばっかの子供見たいなことを言い出すし、それに対して井戸行きを宣言する硝子。なんで井戸に固執しているのかは未だ謎。






「駄々っ子達は置いて、雑貨でも見に行こうか」




保護者もこんな様子なので、全くもってまとまりのない休日になってしまった。

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