09:苦労人に番犬あり ページ9
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知らない内にベンチ横に来ていた悟がグラサン越しに睨みつけ、まるでその姿は番犬。
面倒事になる予感しかしないので助けてくれ。
『さ、悟。この人達は前に話した"同級生"の....』
「なんだっけ、AとB?」
『違うそれ例え話』
コイツなんにも覚えてないのかと呆れと焦りが混ざり合う。視線をクレープ屋に移したところ、まだ2人は会計を済ませていないようだ。
そんな目を逸らした隙に、沢渡くんがよく分からない感情をぶつけてきた。
「さっき彼氏いないって....嘘ついたの?なんで?」
『いや彼ただの友人なんで』
なんでお前は元カレみたいな態度を取ってるの?彼女おるんだから私がフリーだろうが彼氏持ちだろうが関係ないじゃん。
ここまで言い切りたかったが知人の手前そんなことはできない。
しかしそれをやってのけるのが悟である。
「彼女いるくせに元同級生ナンパしてるのヤッバ。人間向いてねぇよお前」
「そんなつもりじゃ、変な言いがかりはやめてくれ!」
「あ"?何被害者ヅラしてんだよ気持ちわりぃ」
傍から見れば悟が沢渡くんをいじめているようにしか見えない。身長も相まっての話だ。
これ止めるの面倒。ということで未だにこっちに来ていない彼らを探す。
『....あいつら、分かってて反対方向でクレープ食べてるやん』
こういうことである。つまり悟にやりたい放題させていいとのことらしい。
でもって風評被害を受けるのは私なのでとりあえず止めに入ろうとしたが、私よりも一歩先に出た人がいた。
「沢渡くんは、いっつも男の子と一緒にいたAちゃんがひとりでいたから心配しただけ!そうでしょ?」
それに対し彼は戸惑いながら頷く。いや違うだろとツッコミたかったが、「それに」と彼女は続けた。
悟の方へ向き直し、しっかり目を見た上で少し間を縮める。悟の魅力(容貌)に取り憑かれたみたい。
「Aちゃんって男癖悪いところあるから気をつけた方がいいと思います。私の彼も__」
「うっせぇクソ女。媚びしか売れないなら引っ込んどけ」
うわぁ凄いクリティカルヒット。
思わず口から零れたのはそんな一言だった。私の言いたいことを全て弁明した悟に圧巻される。
それが図星だったのかは知らないけど、逃げるように去っていきそれを沢渡くんも追いかけていった。
「お前も割と苦労してんだな」
その一言が、あまりにも優しく刺さった。
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むぎ(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます💦先日の投稿の際に誤って立ててしまったようです、ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありません💦 (2023年3月28日 8時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ‘フラ立ってますよ!二次創作の作者には、オリ‘フラを立てることは出来ないので気をつけて下さい💦 (2023年3月28日 8時) (レス) id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 設定から面白いし続きがめっちゃ気になります! 更新ありがとうございますm(_ _)m (2023年3月27日 0時) (レス) id: d9289f95ee (このIDを非表示/違反報告)
焼き鮭(プロフ) - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2023年3月25日 17時) (レス) @page2 id: 64769613b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2023年3月25日 16時