ただの水を惚れ薬として飲ませたら【呪術廻戦】

09：言ってることと違う ページ10

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一歩近づけば、五条が一歩下がる｡
結局変わらない距離に、私は痺れを切らした。






『ねぇ五条、私が踏みよると後ずさるのやめてくれない？私達の距離変わってないままだなんだけど』

「...お前には分からないだろーけど、こっちはAの声聞くだけで、顔見るだけで心臓痛てーの。近づけるわけがない。全部お前に飲まされた惚れ薬のせいだけどな」







なんでまたキレてるんだこの人は...というかやっぱり、聞いていると恋に無自覚な男の子感が凄い。


お坊ちゃんだからなのだろうか。






多分今、嘘をついたことを伝えないと何も彼は聞いてくれないだろう。



惚れ薬の正体がガムシロだと気づいた彼はどんな反応をするのだろうか。
...なんとなく、物凄く怒られそうな気はする。






『いい？五条。近づかないからよく聞いて』






小さく首を縦に振った五条を確認して、浅く息を吸う。
怒られてもいい、嫌われ...たくないけど、今はそれでもいい。

ネタばらしは、ちゃんとさせてほしい。







『私が昨日飲ませたのは、ただの水なの。いくつかガムシロを入れただけの、本当にただの水。惚れ薬なんかじゃないの』






嘘ついてごめん、と深く頭を下げた。
チクチクと胸が痛み、彼の顔も見れない。






すると、少しの静寂の後に床の軋む音。
鳴らしているのは、私じゃない。


どうしよう、無視されてどっか言っちゃったんじゃ....






そんな気持ちと裏腹に、感じる微かな体温。



顔をあげるとそこには、さっきまで近づけないとか顔見るだけでとか色々言っていた張本人が、私の目の前にいた。

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