08:逃げたって変わらない ページ9
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『ねぇ、五条!!ちょっと待ってよ!!』
「嫌だっつってんだろ!!追いかけてくんなよAのバカ!!」
変な罪悪感と、胸に積もるモヤモヤに耐えられなくなった私は、恐る恐る五条に話しかけた。
肩を少し叩いて『ちょっといいかな』と彼の顔を覗き込んだだけだというのに、
急に顔を真っ赤に染めて五条が逃げ出してしまい、現在に至る。
『ちょっ...足早すぎでしょ五条!!』
追いつくことなく息切れし始める私は、廊下で1人立ち止まった。
逃げたって何も変わらないのに、時間の流れに任せてもどうにもならないのに。
変な距離感で過ごしたくないのに...
どうして私の話を聞いてくれないの、五条。
どれだけそう訴えかけても、彼は最後まで私の話を聞いてはくれない。
もし夏油の言っていることが違っていたら私はただ嫌われているだけになるが、そうなると追いかけられている五条が可哀想にも思える。
でも、嫌われているわけじゃないと変に自信があった。
廊下の奥に彼の姿は見えない。また五条が教室に戻ってくるタイミングを伺うしかないのかもしれない。
凄く面倒なことになったなとため息をつくけれど、事の発端は私なんだ。最後まで責任を取らなきゃ...
額に伝った汗を拭って、諦めて教室へと戻ろうとしたとき
見えなくなっていた筈の五条の声が、廊下に反響し始めた。
「A、ごめん。走らせちゃって...お前運動神経悪いのに」
『一言多いんだけど!?てかアンタが逃げるからでしょバカ五条!話聞いてよって!』
姿を見せた彼に一歩踏みよれば、床の軋む音が。それと同時に、鼓動が少しずつ音を大きくしていく。
運動による反動だと分かってる、でもそれにしてはやけに心臓がうるさく感じた。
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むぎ(プロフ) - ごりらさん» ラストに注目していただけたの凄く嬉しいです…!!思わずニヤついちゃうコメントをありがとうございます、ごりらさんにとって記憶に残れるような作品が作れたことを光栄に思います…!!こちらこそありがとうございました!! (2022年4月4日 9時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - あおぞら(`・ω・´)さん» あおぞらさんっ!!そんな!!こちらこそ読んでくれてありがとうっ!!! (2022年4月4日 9時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ラスト書かないの、色々考察できて良きですね…!!登場人物の心情の変化や情景がすごくわかりやすく、感情移入して楽しく読むことが出来ました!改めまして、本当に素敵な作品をありがとうございました!大好きです!お疲れ様でした! (2022年4月3日 21時) (レス) @page14 id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)
あおぞら(`・ω・´)(プロフ) - むぎ様!!!なんて素敵な作品をっっっ!ありがとうございますっ!!! (2022年4月3日 21時) (レス) @page14 id: 11b3922fd9 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ごりらさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!ご満足いただける話になれたら幸いです...! (2022年4月2日 16時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2022年4月2日 14時