ただの水を惚れ薬として飲ませたら【呪術廻戦】

12：全ての終幕 ページ13

.






「なんかよく分かんねぇから状況まとめるけど、つまりはお前ら2人エイプリルフール利用してイチャついただけってわけ？」

『...なんか、ごめんなさい...』






廊下よりも寒く感じる教室で、面倒くさそうにした硝子が肘を付いて私達に尋ねた。その声色がかなり怖い。



私もまさかこんな結末になるなんて思ってもいなかった。ほぼ関係のなかった硝子と夏油からしたらとんだ茶番に付き合わされたことだろう。





実は最初から好きで、でも自覚なしで。騙すつもりで惚れ薬と称して渡したガムシロ入りの水を飲ませたらそれがトリガーになってハッピーエンド...なんて、第三者からしたらきっと面白くない。




いやハッピーエンドかは正直分からない。
五条の気持ちを知ることはできたけれど、まだ私自身の気持ちに整理はついていないから。










ただ、1つ変わったことと言えば...







「なぁA、抱きしめるからこっち来て。お前背が低いから丁度いいし」

『いっつも一言多いんだよね五条は。てか私達付き合ってないよね？私から好きって一言も言ってないよね？』

「それはそうだけど、俺は好きだから。Aのこと。それ以外に理由要らないだろってことで早く来て」

『マジで...？』







めちゃくちゃに五条が甘えん坊になったことだろうか。
いや甘えん坊って言うのかこれ...？？どちらかというと、素直になったというか。


よく分からないけれど、今まで以上に懐かれてるんだと思う。少し暑苦しいけど。






とは言っても意地悪や馬鹿にすることが減ったわけじゃない。そこは相変わらずだった。


けれどなんだか、たった2日間だけで私達の間柄がかなり進展したような、そんな気がした。









多分、私が彼を好きな人だと意識するのも時間の問題だ。

五条からの願いを拒否できず抱きしめられて、毎回心臓バックバクになっているんだから。










...そんな、エイプリルフールにただの水を惚れ薬として飲ませたら、思わぬ方向に事が進んでいって今まで以上に懐かれてしまった話。













ただの水を惚れ薬として飲ませたら
END

あとがき→←11：零れた本音

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す