□.08話 ページ8
.
俺と同じくらいの背の彼女が、触れるか触れないかの距離にいる。
少し手を伸ばせば触れられるのに、心は届きそうにねぇの。
そんな彼女を、買い出しと称して呼び出した。
好きなヤツにプレゼントをしたい、と言えば少し驚いた顔をしたものの
特に何も聞かず着いてきてくれた。
「女の好きなモンって分かんねぇんだよな。今日も付き合ってくれて助かったワ」
『あ、うん。別にいいけど...』
目線を下にして、アスファルトを見つめるA。
別に、というのは快く引き受けてくれた訳じゃねぇんだろうな。
今更考えても遅い。
嘘までついて呼び出したんだから、きちんとAの好きなモンを見つけねぇと。
そこら辺ぶらぶらすれば、何となく彼女の好きなモンが目に止まって立ち止まってくれたりすんだろ。
今日中に上手くいくかは分かんねぇな。A次第ってとこか。
一息ついてチラッと横を見ると、さっきまでいた彼女が消えていた。
「は！？アイツ何処に...って、何やってんだろ」
少し見渡せば、店の前でじっと立ち止まっているAの姿。
何か見つけたのかもしれないと思い、彼女の横から顔を出す。
彼女が目を輝かせ見ていたのは、青い星空のようなキーホルダー。
へぇ、こんなのが好きなんだ。
「何、それ欲しーの？」
もしも、今から買うなんて言われたら困っちまう。
その確認も兼ねて、欲しいのかは聞いておくべきだと思った。
俺が近くにいることに気づかなかったのか、少しビクつくA。
じっとそれを見つめたまま笑顔で答えた。
『え、いやただ...綺麗だなって思っただけだよ』
欲しくない、とは否定しなかった。
多分俺が買ってやるとか言いそう、なんて思ってんだろーな。
...ま、どうせ明日買いに来るけど。
「ふーん...なら早くいこ」
『うん、ごめんね』
許可も取らずに彼女の手を取り、走り始める。
俺よりも小さくて、華奢な手。
手を掴んでいる間は走り続けた。
だって少しでも気を紛らわさねぇと俺の気が持たねぇもん。
そうは言いながらも、ずっと離したくねぇな、なんて思っちまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むーこ - 二人のふとしたところのすれ違いが物語をより甘くしていて、どちら目線でもきゅんきゅんしました！素敵な作品をありがとうございます！！ (8月15日 15時) (
レス) @page15 id: af2a3b499e (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - シェリーさん» こちらこそありがとうございました....！！お楽しみいただけたようで良かったです！！ (2021年12月11日 9時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
シェリー(プロフ) - あああ…ありがとうございました！最後までとっても楽しかったです！！！ (2021年12月11日 5時) (レス) id: d81e626837 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ちびさん» 継続して読んでいただきありがとうございます！！マイキー君目線がキュンキュンを高められているようで本当に良かったです…！こちらこそ愛読して下さりありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月26日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - はじめまして。本編から継続して読んでいますが…本編だけでも悶えまくりなのに、マイキーくん目線の番外編まで…このような素晴らしく萌えキュン要素いっぱいの素敵な作品を作ってくださりらありがとうございます！作者様のペースで更新頑張ってください！ (2021年11月26日 1時) (レス) id: 190d57c004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぎ
| 作成日時：2021年11月5日 17時
