10:強引さと色気 ページ10
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じゅる、と脳までもを刺激するキスの音が響く。
普段の夏油には強引のごの字もない。それはAもよく分かっていた。
一度は浅い方の口付けだったのが、彼女を溶かすかのように一気に深くなる。
『....ねぇ、どうしたのすぐる、今日なんか変だよ...』
「...そうかい?いつも通りだと思うけれど」
『い、いつもこんな強引にしない、でしょ』
「へぇ?強引って、こういうことかい」
彼女が適うはずもない力で、体ごと自分の方へと向かせる。それと同時に、また口を塞いだ。三度目となっては、もう彼女にも抵抗する力なんか残っていない。
息が続かなくなり、より空気を熱くして唇は離れる。
夏油の目に映るのは目を逸らして潤め、耳を真っ赤にしたA。
ぞくりと、彼の背に何かが伝った。
「今この目で見られたらダメだ」という好奇心と背徳感。
そしてそんな防御力が無になった彼女は、頭が真っ白になったとしても本能の攻撃を辞めない。
その潤んだ瞳を向けるだけでなく、
『すぐるの、ばぁか、』
この間、彼の心臓を破壊したばかりの言葉を呟いた。
元々防御力皆無の彼に、こんなの耐えられるわけがない。
ぐらっと夏油の体が揺らいで、押し倒されるかのようにAの身体は冷たい床になだれ込んだ。
頭に僅かながらの痛みを感じる。
『いっ...す、すぐる...』
彼女の目の前には、頭の隣に手をつき頬を紅潮させた彼。壁ドンは今までされたことがあっても、流石に床ドンは初めてだった。そのせいか鼓動の高鳴りは止まない。
何度も自分の名を呼ばれその度に堪らない気持ちになっていた夏油は、し返すように甘い声で耳元で囁く。
「...A、愛してる」
かかる息と声がAの全身を震わせた。『私も』と言ってしまいそうなった口を噤んで、近づいた彼を何とか押し返すように、ふと額に触れたとき。
『...!?凄い熱じゃない...!!』
焼けるような熱さが手に襲いかかった。
そう、実は彼は風邪を引いていた。それが無自覚だっただけ。
様子がおかしくなった原因は彼の発熱のせいだった。
だがそれくらいでは夏油は怯まない。
「確かに少しぼーっとする....でも好都合だ」
『え』
「それなら、」
そうひと息つき、床に倒れ込んだ彼女の頬に触れ
「全部、熱のせいにしてしまおう」
また罪深い言葉を放った。
...勿論、それ以上はなく大人しくベットで寝かされたのがオチだが。
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甘木 - えっ何でこんなに可愛いんですか…??夏油様も可愛ければ夢主ちゃんも可愛い…え?夏油様は神じゃなく天使と女神が合わさった方だった…?(脳し) (2022年1月28日 2時) (レス) @page7 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - えっ?二人とも可愛いすぎんか⁇夏油様頑張れ!笑 (2022年1月27日 13時) (レス) @page5 id: 72f2f340c8 (このIDを非表示/違反報告)
RURI(プロフ) - 夏油様!むぎちゃんの新作待ってましたー!可愛い攻防戦をありがとう(*´˘`*)♡ (2022年1月26日 23時) (レス) id: 8724428549 (このIDを非表示/違反報告)
ろく - めちゃ可愛い夏油傑です最高です (2022年1月26日 22時) (レス) @page2 id: 5f4bcdb5df (このIDを非表示/違反報告)
甘木 - わあ…!夏油様だ…!なにこの可愛くてちっちゃな攻防戦‼︎可愛い過ぎませんか??え、可愛さに殺されるっ…! (2022年1月26日 21時) (レス) @page2 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2022年1月26日 18時