01:とある攻防戦 ページ1
no-side
夏油傑は今、あることに頭を抱えていた。
彼女である
比較的冷静で落ち着いた彼女との進展がないと。
断じて嫌われている訳ではない。恋人らしいスキンシップは取るし、愛の言葉だって囁きあっている。
一言で表すならば、夏油は我慢の限界が近かった。
「だめ、かな」
『...まずはその色気、どうにかして』
壁ドン状態で迫られているからか、目のやり場に困るというように少女は顔をふいと背けた。
冷静で落ち着いていると言っても、別に冷たい訳ではない。どちらかと言うと仲のいい人間の前でだけありのままでいるような感じだ。それが彼氏となれば尚更。
けれども、何故かこの話題へと持ち込むといつも彼女は一段と冷たい空気を放つ。
その理由が、どうしても彼には分からずに半年以上経った。
彼女の可愛さに悶え、我慢しながら頑張るしか、夏油には思いつかなかった。
そんな紳士的で五条と比べれば確実に大人な彼を悩ませるたった一人の女、永海A。
勿論、彼女がそういう態度を取るのにも理由がある。
『硝子....傑がずるい、また色気丸出しで壁ドンしてきた....』
「日常茶飯事でしょ、いい加減顔真っ赤にするの抑えな」
家入硝子はそう言い、彼女の頭を優しく撫でた。
当の本人はうぅ、なんて言いながら小さな手で顔を覆う。
実は彼女、恥ずかしがり屋だった。
夏油同様彼のことは本当に大好きで仕方がないのだが、手を出される勇気が出ない。
『私だって、普通に誘われたら頑張ればいけるとは思うの、恥ずかしいけど。でも傑めちゃくちゃ色気使ってくるんだもん!!あんなかっこいい人になんて考えたら無理って!』
「あーハイハイ、今すぐこのAの姿見せてやりてー」
"仲のいい人間の前だけでありのままでいる"
これは事実だが少し違う。彼氏に対してなら尚更のはずだが違うのだ。
正確には"仲のいい人間(夏油(好きな人)除く)の前だけ"である。
ありのままで接したいのは山々だが、どうしても意識してしまい誘いを拒絶する自分を彼の前で創り出す。それを五条も硝子も分かっていながら黙っていた。
『毎日死にそ...なんで傑あんなに色気凄いの?ポーカーフェイスそろそろ崩れる...』
そんなAの発言に、面白いからまだ頑張ってくれないかな、と硝子は心の中で呟く。
そう、これはそういう雰囲気にさせたい男とポーカーフェイスで耐える女の攻防戦である。
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甘木 - えっ何でこんなに可愛いんですか…??夏油様も可愛ければ夢主ちゃんも可愛い…え?夏油様は神じゃなく天使と女神が合わさった方だった…?(脳し) (2022年1月28日 2時) (レス) @page7 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - えっ?二人とも可愛いすぎんか⁇夏油様頑張れ!笑 (2022年1月27日 13時) (レス) @page5 id: 72f2f340c8 (このIDを非表示/違反報告)
RURI(プロフ) - 夏油様!むぎちゃんの新作待ってましたー!可愛い攻防戦をありがとう(*´˘`*)♡ (2022年1月26日 23時) (レス) id: 8724428549 (このIDを非表示/違反報告)
ろく - めちゃ可愛い夏油傑です最高です (2022年1月26日 22時) (レス) @page2 id: 5f4bcdb5df (このIDを非表示/違反報告)
甘木 - わあ…!夏油様だ…!なにこの可愛くてちっちゃな攻防戦‼︎可愛い過ぎませんか??え、可愛さに殺されるっ…! (2022年1月26日 21時) (レス) @page2 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2022年1月26日 18時