04:防御力の低下 ページ4
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静まり返った教室、壁際には目線を逸らしながら苦笑いを零す硝子。
その隣に立ちすくんだ夏油。その向かいには小さく息を飲むA。
今ここに五条がいないだけマシだったかもしれない。と、硝子はポジティブに捉えることにした。
『...す、傑、いつから聞いて』
「大好きの、辺りから....かな」
『硝子、やったね?』
少しでも話題を、気を紛らわせたくて彼女は責任転嫁するように夏油から目線を硝子へと移した。
あぁ、やばい。硝子は直感でそう感じ、早口で言い訳がましい言葉を早口で連ね、早足で教室を飛び出していく。
やばいのは今この空間に二人きりにさせることだと分かっていたが、やはり優先するのは自分の身だったわけだ。
残された二人の間に、生温い空気が流れる。
そんな中、意を決したのは夏油だった。
「さっきはごめんね、あんなに嫌がられるとは思わなかったんだ」
まずは口にする謝罪の言葉。Aの目に彼は申し訳なさそうに映ったからか、彼女にも少しばかり罪悪感が芽生える。
けれど、無意識に色気を放つ男がここで終わる訳がない。
まだ夏油のターンなんだから。
「けど、さっきの、その....ばぁかってやつ。あれがかなり私的に刺さってね」
『....う、ん?』
「意外な一面が知れて、なんだか嬉しくなったんだ。なんせ君のこと、大好きだから」
不意に零れた夏油の笑みが、Aの胸へと突き刺さる。
そう、彼女は普段、防御力に特化しているがこれは表面上なだけであって、実際のところは防御も攻撃も五分五分なのだ。
更に言えば今日は既に一度攻撃を食らっているせいでまだ回復しきっていない。
つまり、圧倒的不利。
更に更に付け加えれば、夏油の行動一つ一つはAにとって攻撃力100%。
このままでは彼のペースに飲み込まれると本能で危機感を感じた彼女は、こちらも無意識に攻撃を始める。
スっと椅子から立ち上がり、ふらっと彼の目の前に立った。
『私も、嬉しかったよ』
そう一言言い放ち、触れる程度に夏油の体に身を寄せる。
けれどここからはAのターン。つまり反撃タイムだ。
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甘木 - えっ何でこんなに可愛いんですか…??夏油様も可愛ければ夢主ちゃんも可愛い…え?夏油様は神じゃなく天使と女神が合わさった方だった…?(脳し) (2022年1月28日 2時) (レス) @page7 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - えっ?二人とも可愛いすぎんか⁇夏油様頑張れ!笑 (2022年1月27日 13時) (レス) @page5 id: 72f2f340c8 (このIDを非表示/違反報告)
RURI(プロフ) - 夏油様!むぎちゃんの新作待ってましたー!可愛い攻防戦をありがとう(*´˘`*)♡ (2022年1月26日 23時) (レス) id: 8724428549 (このIDを非表示/違反報告)
ろく - めちゃ可愛い夏油傑です最高です (2022年1月26日 22時) (レス) @page2 id: 5f4bcdb5df (このIDを非表示/違反報告)
甘木 - わあ…!夏油様だ…!なにこの可愛くてちっちゃな攻防戦‼︎可愛い過ぎませんか??え、可愛さに殺されるっ…! (2022年1月26日 21時) (レス) @page2 id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2022年1月26日 18時