炭酸青年は今日も甘い【三ツ谷隆】

06：君は別腹 ページ7

三ツ谷side









「ただいま…って、流石に寝てるか」






仕事が長引いたある日、帰りが遅くなった。



腕時計が示す時間は夜中の一時。寝ていてもおかしくない。







「起こさねぇように静かにしねぇと…」








そんな一つ一つの呟きさえもうるさいってことに気づかねぇバカな俺。




…あ？リビングの電気ついてねぇか？





消し忘れなのか、起きているのか。ゆっくりと扉を開けた。









『…隆くん、おそーい』






中から聞こえてきたのは、ふわふわした声。



あ、これ酒飲んでんな。








「ただいま、A。こんなことで寝てたら風邪引くだろ」



『えー？寝てないよ？隆くんの帰りをね、待ってたっ』








えへへって笑いながら俺の服に顔をすりすりさせてくる。






酔ってるA可愛いんだよな、照れとかないみてぇだから。



ありのままというか、素というか。俺しか見れないAの姿。









『ご飯はー？食べた？』


「あぁ…もう夜中の一時だからな。流石に食ってるよ」









一応遅くなるからメシはいらないと連絡はしといたけど、もしかして作ったのか？





ちらりと横目でテーブルを見る。





だけどテーブルの上にあったのは…









「っておい？どんだけ飲んでんだよA……」









空になった大量のビール缶。Aって明日も仕事だよな？なんでこんなに飲んでるんだよ。





問いただすと、返ってくるのはふにゃっとした可愛い声。









『隆くんいなくて寂しかったから、つい飲んじゃったんだぁ』




ごめんねって言いながらまた顔をすりすりするA。







言ってることも声も可愛すぎんだよオマエは。









「…酔い冷めついでに、Aのこと喰っていいか」



『ご飯食べて来たんでしょ？お腹いっぱいなんじゃないのー？』








頭の上に分かりやすくはてなマークを浮かべるA。


そういう意味じゃねぇよ、下心丸出しのほうだよ。









「…Aは別腹なんだよ」


『そっかぁ…デザートだね？』








意味を理解してるのか分からないAを抱き抱え、そのままベットに連れていく。








「可愛いオマエを、喰わせてくれ」









なんだかんだ言って、俺も酒が入ってんのかなって。そう思った。

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