炭酸青年は今日も甘い【三ツ谷隆】

05：可愛いんだよ ページ6

三ツ谷side









「なぁ、Aが可愛いんだけど」








ビールを一口飲み込んで、そう言い放った。









土曜の夜、居酒屋にて。




俺とマイキーとドラケンは、いつもみたいに集まっていた。









「俺さ、それ5000回は聞いたワ」


「聞いてやれってマイキー、どうせ帰っても一人だろ」


「一言多いんだけどケンチン」









二人の仲の良さは相変わらずで、俺の入る隙もねぇ。



Aにも会わせてぇな、久しぶりに。








向かいに座る二人を見つめながら、枝豆を口へと放り込んだ。








「三ツ谷、何ニヤニヤしてんだよ。怖ぇんだけど」



「二人がちょっと羨ましいだけだ。気にすんな」







何も変わってない二人の関係が羨ましい。

かと言って、Aとの関係も変わってねぇけど。









「帰ったらAが出迎えてくれんだろ？オマエの方が羨ましいんだけど」






ため息をつきながらビールのジョッキを掴むマイキー。







確かにな。



家に帰れば笑顔で出迎えてくれるA。メシを作ってくれるA。照れるとこが相変わらず可愛いA。









「……俺、幸せすぎて死ぬんじゃねぇかな」


「俺は一回死んでもいいと思うケド」


「マイキー黙ってろ」







いつもみたいにドラケンはマイキーの口封じ役。


聞いてやれ、が、黙ってろ、に変わんだから怖いもんだ。









「Aは菓子の会社に勤めてんだっけか」


「あぁ、たまに試作品持って帰ってくるよ」








持って帰ってきたときの顔も、達成感に満ち溢れてて俺は好きだ。









「毎日仕事が楽しいんだとよ。ホワイトで安心してるわ」









無理しない程度が一番。社会には通じねぇけど、Aにはいつもこれを言い聞かせてる。



『それは隆くんもでしょ』って、毎回叱られんだけどな。








「菓子の会社……たい焼きあんの？」






少年のように目を光らせるマイキー。



変わってねぇな。そんなとこも。







「どうだろうな、Aに聞いとくわ」









あったら四人分、買わねぇとな。

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