炭酸青年は今日も甘い【三ツ谷隆】

03：君とご飯 ページ4

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『おかえりなさい！隆くん。ご飯する？お風呂にする？』


「…Aって選択肢はねぇの？」


『…それは隠しルートです』







もうって言いながら彼の鞄を受け取り、定位置の場所に置きに行く。








「あ、いー匂い。生姜焼きか」


『正解。隆くん好きだもんね』









手を洗いに洗面所に入る彼を横目に、私はそそくさと盛り付けを始める。









「俺が好きなのは、Aが作った生姜焼きだけどな」


『それいっつも言ってるよね、ありがとう』









初めて隆くんに生姜焼きを作った10年前。


あのときは手伝ってもらったけど、もう私は一人で作れるから。









「うん、やっぱ今日のも美味いな」


『もうホント、照れさせようとしてるでしょ？』









毎日こんな感じだ。私が仕事が遅くなるときは隆くんが作ってくれるけど、私が作った日は絶対に、






「今日も作ってくれてありがとな、A」





こんな風にふわっと微笑む。






…私も、幾つになっても慣れないもので。







『……どういたしまして』






どうしても照れてしまうのだ。









「金曜日ってことで、つまみ買って来た」





ドヤ顔でレジ袋の中からジャーキーを取り出す隆くん。




『ビールあったっけ……』









私も彼もお酒が好きだから、毎週金曜日はこうやって一緒にお酒を飲む。




…金曜日だけってわけでもないけど。









「ご馳走様。美味かった」



『お粗末さまでした』









最低でも5回は「美味い」って言ってたな…









好きな人に料理を食べてもらえて、しかも美味しいだなんて









幸せでしかないよね。

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