25:一息ついて ページ26
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「凄かったな、Aの説教」
『なんか恥ずかしいからもう言わないで...』
冷たい風の吹く夜、手を繋いで街灯の照らす道を歩く。
交互に鳴る靴の音が、どこか心地よい。
街灯が少なくなってきた道に出た頃、私は彼に訊いた。
『どうして私が助けを求めてるって気づいたの?』
すると、スマホの画面を私の前に差し出しながら言った。
「文が変な終わり方で送られてたんだ。ミスかと思って少し待ったんだが、それ以降メールが来ねぇからヤバいことになってんじゃねぇかなって」
確かに不自然にメールが途切れている。多分手を掴まれたときに衝動で押したんだと思う。
この文面だけで気づけるなんて、凄い。
「そしたら案の定、あの男がAにキス迫ってやがった。やっぱ一発殴っとけば良かったな」
『手を出したら捕まっちゃうでしょ?私もっと隆くんと一緒に居たい』
「...可愛いこと言うなよ」
少し照れる彼の手をギュッと握り返す。
お互い冷たかったはずなのに、気づけばあっという間に温まっていた。
「さっきは周りに人が居たからあんまし言わねぇでいたけど、Aが本気で怒ってくれたこと、ホントに嬉しかった。まさかあそこまで言ってくれるとはな...」
『私の方こそ助けに来てくれて嬉しかった。さっきのは、隆くんのことを馬鹿にされたのが許せなくてつい...』
「1000倍いい男とか、幸せにすんのもしてくれるのも俺、なんて照れんだけど」
『あ、あれは!隆くんが助けに来てくれたときに言ってたから...!!』
今思えば、結構恥ずかしいこと大きい声で言い過ぎてた気がする。
今度皆に合わせる顔がない...!!
1人でまた頭を抱えていると、意地悪をするかのように彼が囁いた。
「俺以外の奴に幸せにさせるつもりねぇから。ずっと傍にいてくれ」
にっと笑って私を見つめる。
こんなの、断れる人なんかいない。
『ふ、不束者ですが、よろしくお願いします』
「ん、こちらこそ」
手を恋人繋ぎに変えて、月明かりに照らされた道をまた2人で歩き出す。
色々あったけど、やっぱり幸せな夜だった。
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椿(プロフ) - 三ツ谷クンかっこよす…! 以前のコメの返しに書いてあったんですけど裏事情編はもう世には出さないんでしょうか…? (2022年6月25日 2時) (レス) id: 2ebe3047aa (このIDを非表示/違反報告)
東リベ推し - 尊死してます⭐️最高です❗️お話作りの天才だ,,, (2022年3月28日 14時) (レス) @page30 id: e85af83036 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - あっそうだったんですね!全然気にしないで下さい!!本編でお腹いっぱいなくらいですから! (2022年2月6日 19時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - みおさん» あわわごめんなさい...!!諸事情で裏事情編を消してしまって...すっかりこちらのお知らせを削除しておくのを忘れてしまっていました、大変申し訳ないです... (2022年2月6日 15時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 1日で全部読んでしまいました、最高です、むぎさん神ですか?もう、本当に!何ですが何故か裏事情編が見れなくて、ログインもしてその不健全なのも見れるようにしてあるんですが、 (2022年2月5日 15時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2021年10月14日 21時