23:キレないわけがない ページ24
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「悪ぃな。今後一切、俺以外が幸せにする予定ないんだわ」
そう言ってギュッと抱きしめられる。
甘い声の持ち主は、大好きな彼だった。
『た、隆くん...?』
「ん、怖かっただろ。遅くなってごめんな」
ぽんぽんと私の頭を撫でるけど、謝るのはこっちの方だ。
もしも、って可能性があったのに参加してしまった。
隆くんは何も悪くない。むしろ助けに来てくれたのに。
『ごめんなさい、私の軽率な考えのせいで...』
「謝んなって。謝罪しなきゃなんねぇのはこの男の方だろ」
そう呟いて怒りの籠った瞳で男性を睨む。
さっきまで和気あいあいとしていた個室も、隆くんの乱入により静まり返っていた。
ようやく私が言い寄られていたことに気づいてくれたらしい。
「ごめん一ノ瀬...!!話に夢中になり過ぎてて周りが見えてなかった...」
『うん、大丈夫。気にしないで』
私と違って皆はお酒を飲んでいたから仕方ないところはある。
そこについては怒るつもりはないのだけれど。
「えー、何?酒の勢いってやつじゃん?そんな本気で怒んなよ彼氏さん」
この人に至っては別だ。
流石に反論するべきだと口を開こうとする。
だけど、隆くんの方が一足先だったようで。
「酒の勢いで人の彼女に言い寄るバカいるか?分かってやってんだから確信犯だろーが」
「おー、怖い怖い。一ノ瀬さんよくこんな冗談の通じない男と付き合ってんねぇ。かわいそー」
はは、と笑う男性と、その光景を見てドン引きする周りの人々。
...え、冗談?さっきまでの行為が??
冗談というか、常識の通じないこの人が言えたことではないと思うのだけれど。
それよりも......
隆くんを、馬鹿にしたな?
今まで押さえ込んでいた怒りがふつふつと込み上げてくる。
なんで初対面の人にここまで言われなきゃいけないの?
なんにも知らないくせに。私のことも、彼のことも。
さっきキスまでしてこようとしてたくせに、謝る気すらないの?
思い出せば思い出すほど、まるで入り切らなくなった器から水が溢れ出すように、
怒りが、喉から飛び出しそうになる。
すると、追い討ちをかけるように男性は言った。
「やっぱりコイツよりも絶対俺の方が幸せにしてやれるよ?俺と付き合わない?」
抑えられるわけがなかった。
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椿(プロフ) - 三ツ谷クンかっこよす…! 以前のコメの返しに書いてあったんですけど裏事情編はもう世には出さないんでしょうか…? (2022年6月25日 2時) (レス) id: 2ebe3047aa (このIDを非表示/違反報告)
東リベ推し - 尊死してます⭐️最高です❗️お話作りの天才だ,,, (2022年3月28日 14時) (レス) @page30 id: e85af83036 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - あっそうだったんですね!全然気にしないで下さい!!本編でお腹いっぱいなくらいですから! (2022年2月6日 19時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - みおさん» あわわごめんなさい...!!諸事情で裏事情編を消してしまって...すっかりこちらのお知らせを削除しておくのを忘れてしまっていました、大変申し訳ないです... (2022年2月6日 15時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 1日で全部読んでしまいました、最高です、むぎさん神ですか?もう、本当に!何ですが何故か裏事情編が見れなくて、ログインもしてその不健全なのも見れるようにしてあるんですが、 (2022年2月5日 15時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2021年10月14日 21時