20:甘え上手 ページ21
.
「ん、良かった。熱は下がってんな」
少し冷たい隆くんの額が離れて、私も手を当ててみる。
数時間前まで熱かった額は、あっという間に温くなっていた。
看病のおかげ、かな。
『看病してくれてありがとう。じゃあ夕飯は私が...』
「いや何言ってんだダメに決まってんだろ」
なんで?と、聞けば
困った顔をしてそっと頭を撫でられる。子供扱いだ。
「Aの気持ちはありがてぇけど、まだ治ったわけじゃねぇんだから大人しく寝てろな」
でもこんなこと言われたら子供扱いとかどうでも良くなる。
ただ、好きだなって気持ちが大きくなるだけ。
『...分かった。でも、ぎゅーだけして欲しい』
「そんなんいくらでも」
いつもみたいな優しい手に包まれる。
この抱きしめられた瞬間がとてつもなく好きだ。
あんまり甘え上手じゃない私は、こういうときにしか素直になれない。
隆くんからみたら十分甘えてるらしいけど、どうなんだろう。
『隆くん、私って甘え上手?』
「あぁ、いつも心臓が飛び出しそうになるくらい上手だよ」
可愛いこと聞くんだなって笑えば、ほんのり赤くなる耳。
ちょっぴり照れてるの、可愛い。
「A、夕飯の希望は?」
『隆くんが用意してくれたものだったら全部好きだからなんでもかな』
「ありがとな。んじゃ冷蔵庫に残ってるモンで作ってくるわ」
そう言うとするりと手が離れて、キッチンへ向かっていく彼。
部屋には私一人残されて、壁に掛かった時計がうるさく感じるほどに寂しさが込み上げてくるけど
少し遠くから聞こえる料理の音がまるで睡眠用BGMのようで、私はまた眠りについた。
945人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - 三ツ谷クンかっこよす…! 以前のコメの返しに書いてあったんですけど裏事情編はもう世には出さないんでしょうか…? (2022年6月25日 2時) (レス) id: 2ebe3047aa (このIDを非表示/違反報告)
東リベ推し - 尊死してます⭐️最高です❗️お話作りの天才だ,,, (2022年3月28日 14時) (レス) @page30 id: e85af83036 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - あっそうだったんですね!全然気にしないで下さい!!本編でお腹いっぱいなくらいですから! (2022年2月6日 19時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - みおさん» あわわごめんなさい...!!諸事情で裏事情編を消してしまって...すっかりこちらのお知らせを削除しておくのを忘れてしまっていました、大変申し訳ないです... (2022年2月6日 15時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 1日で全部読んでしまいました、最高です、むぎさん神ですか?もう、本当に!何ですが何故か裏事情編が見れなくて、ログインもしてその不健全なのも見れるようにしてあるんですが、 (2022年2月5日 15時) (レス) id: 8246f3ea16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むぎ | 作成日時:2021年10月14日 21時