炭酸青年は今日も甘い【三ツ谷隆】

19：移っちゃうって ページ20

.








『...隆くん』


「んー？」


『顔、あんまり見つめないで？熱上がっちゃう...』







看病するとは言ってくれたけど、隆くんったら私の顔を見つめるばかり。



照れちゃうって。





怒ったつもりで言ったのに、彼には逆効果だったようで







「っ、かわい」





なんて、少し耳を赤くした。




見つめる側も見つめられる側も照れるって。バカップルみたい。







そんなこと言ってる私も、熱のせいでテンションがおかしくなってきていた。






『隆くん、私のこと好き？』


「好きに決まってんだろ、愛してるよ」


『えへへ、私も愛してる』







どこぞのバカップルですか？って聞きたくなるくらい甘い空間。



仕事を休んだ罪悪感をもっと感じなくちゃいけないはずなのに、今は隆くんと一緒にいれて幸せでしかない。







「とりあえず、なんか食うか？もう昼だし」


『えっとじゃあ...隆くんの手料理、食べたいな』


「任せろ」






そう言って微笑むと、頭を撫でて部屋を出ていく彼。






家事全般出来ちゃう隆くんって、できる旦那様って感じ....



って、何言ってるの私！？だ、旦那様ってまだ気が早いのに...！！










そんな一人で勝手に照れる私を知ってか知らずか、隆くんがひょこっと顔を出した。








「A、お粥作るんだけど何味が...って、どうした？さっきより顔赤くねぇ？」



『ち、違っ...これはなんでもないっ』



「...なんか隠してんな？」








ドア付近に立っていたはずなのに、私の異変に気づいてしまったせいでベットの上に腰を下ろす。


隆くん、こういうときの勘が鋭すぎるよ。








『わ、私...鮭お粥がいいなぁー』


「鮭な。んで、なんで一人で照れてんだ？」






誤魔化そうにも上手くいかない。ここは適当に他のことを...！！








『隆くんが部屋から出ていっちゃって、唐突にちゅうしたくなっただけだよ』








...あれ、やっぱり今日の私おかしい？？なんでそこでキスが出てくるの！？





『ご、ごめん！今のは違くて...！』





慌てて訂正しようとしたけど、もう遅かった。









「風邪引いてるときでさえ、甘えたさんだな」






そう言った隆くんがそっと唇を重ねてくる。




もちろんいつもより短いけれど、柔らかい感触は変わらない。







『う、移っちゃうよ！』


「最初に言ってきたのAだろ？」








隆くんに風邪が移ったら私のせいですごめんなさい。

20：甘え上手→←18：風邪

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す