ビビリ−９％の審神者 ページ11
彼等の涙を見て、とうとう私の涙腺も崩壊しそうになるが、私はさきほどよりもきつく歯を食いしばった。
なんの被害も受けていない私が泣いていいはずがない。今泣くのは、他でもない彼等なのだろう。
彼等の涙はあまりにも美しすぎる。なんの苦しみも味わっていない、苦労もしていない私なんかが見ていいものじゃない。
私はこの場にいるべきではない。そう判断して、そっと席を立つ。
これ以上なにかを話そうとしたら涙がこぼれてしまうだろうが、それでも私は震える声で告げた。
A 「私、いくらでも、部隊、組みますから……」
私はこんなありきたりな言葉しかかけることができない。
だって、私は彼等のように何百年とこの世の行く末を見届けてきたわけじゃない。
たかが十数年の人生なんて、彼等にとってはちっぽけなものだろう。
私が彼等にどんな言葉をかけたとしても、それは軽く聞こえてしまうに違いない。
彼等の言葉と私の言葉では、一つ一つの重みが違う。
だから、私は彼等にかける言葉なんて探すことすらしなかった。
A 「皆さんが望むのなら……、話、いくらでも、聞き、ますから……っ」
けれど、上手な言葉はかけられずとも話を聞くことくらいなら私にでもできる。
俯いていたから、彼等がどんな表情をしたのかはわからない。
あっ、ダメ、もう限界……っ！！
そろそろ真剣に涙が溢れそうになったので、慌てて大広間を飛び出した。
言い逃げのようになってしまったが、それはもうあとで土下座でもなんでもして全力で謝ろう。
今は、私が泣いてしまわないように彼等の前から立ち去るしかない。
自分の部屋に転がり込んだ私は、滲んできた涙を拭いながら敷きっぱなしの布団に仰向けになってぼんやり天井を見上げる。
……怖い。
彼等の話を思い出すだけで、ゾワッと鳥肌が立つほどに恐ろしさを感じる。
笑顔で刃物を振り回した？ 笑いながら彼等の身を切り、裂いた？
想像もできないくらいに狂っている前任を目に浮かべて、慌てて頭を振った。
いやいや、もう前任はここにいないんだから。彼等はもう苦しむことはないんだから。
彼等の壮絶な話を聞いていると、まだ前任がここにいるような気がしてならなかった。
私はこれ以上前任の事を考えるのはやめにした。
A 「……よしっ」
私は気分を入れ替えて、飛び出してしまったことを謝りに大広間へ向かった。
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☆ - これで完結なんて、、面白かったからもうちょっと読みたかった、、非常に残念です。 (2021年1月17日 2時) (
レス) id: 0324f0d530 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - ふと目に止まって作品を読ませていただきました！面白くて一気に読んでしまいました…まさかの4年前の作品…！審判者ちゃんが可愛くて微笑ましかったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2020年11月7日 13時) (レス) id: 2af994e445 (このIDを非表示/違反報告)
せんり - ビビり審神者ちゃんすごく可愛かったです！ (2017年11月30日 21時) (レス) id: 85f5f22765 (このIDを非表示/違反報告)
明素華 - めちゃくちゃ面白かったぁ〜(\>v< *)ビビりも、可愛い!!刀剣男子の、出し方が上手だったぁ!! (2017年10月8日 19時) (レス) id: 66b6a0e086 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - ゆりかさん» 閲覧いだだきありがとうございます！そう言っていただけて嬉しさでいっぱいです♪推しでしたら蛍丸とまんばちゃんですね！でも加州も好きです！可愛いですよね〜！ (2017年8月26日 21時) (レス) id: 46a2904721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らんじぇ
| 作成日時：2016年3月18日 19時
