乗っ取りなんて:9 ページ9
粟田口の部屋には、沢山の短刀や脇差たちがいた。
ボクはなるべく怯えさせないようにと、距離を置いて座った。
一期一振がボクと向かい合うように座り、他は一期一振より後ろで自由に座っていた。
その目に浮かんでいるのは、怯えと警戒心。
粟田口なんか、特にブラックな審神者には狙われやすいからその分のトラウマは大きいのだろう。
沫雪様以外の人間には、話すこともままならないのだろう。
A 「一期一振様。貴方の弟君が怯えていらっしゃるようですが」
一期 「えぇ、まぁ……。話はすぐですから」
A 「そうですかぁ」
へらへらした笑顔を浮かべておく。
警戒心をなくせたらな、と思って浮かべたけれど、客観的に見てみるとへらへらしてるのは不気味だろう。
ボクはいつものように、微笑んだ。
一期 「……貴方は、どうしてこの本丸へやってきたのですか?」
A 「わお、いきなりですねぇ」
まさか、それを聞かれると思わなかった。
予想は「私たちに危害を加えないか」「弟たちに手を出すな」とか、そういうのだと思った。
そんなに気になるのかなぁ。
一期 「乗っ取りを命じられて乗っ取らないだなんて、他の目的があるとしか考えられません」
A 「なるほど。……見習いをしにきた。これでは答えになりませんかね」
一期 「貴方は審神者の経験があるのでしょう。今更見習い期間など必要ないでしょう」
A 「せ、正論ですね……」
言い訳できないかなぁ、これ。
ボクだって言いたくない過去の一つや二つはあるんだよね。
でも、ここであの話をしなかったら、この本丸の刀剣男士たちはボクという得体のしれない相手に警戒し続けなければいけない。
言って傷つくのはボクだけだし……。
刀剣男士の皆が警戒し続ける一週間か、ボクだけが傷ついて過ごすこの一週間。
すこし考えて、やっぱり刀剣男士たちを困らせるわけにはいかないという結論に至った。
衣食住を与えてもらっている間は、やっぱり刀剣男士たちを優先させるべきだろう。
A 「じゃあー、沫雪様に聞いてくれますか?」
一期 「主殿はご存知なのですか?」
A 「いいえ。今から言ってきます。ですので、ゆっくり聞いてください」
なんせ、警戒されている。
この状態で話をしても、頭に入ってくるのは半分ほどだろう。
ボクは返事も聞かず立ち上がって、部屋を出た。
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らんじぇ(プロフ) - マリンさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!ホントですかっ!?そのように言っていただけて嬉しい限りです♪続編希望も感謝です〜! (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 希依さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!労いのお言葉も心に沁みます……(*^_^*)続編希望もうれしいです! (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - ☆☆さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!続編希望感謝です〜♪♪ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 黒猫さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!続編キボンヌ、嬉しいです〜!! (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - あまぽーさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!なんとかここまで書ききれました……(^^ゞ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らんじぇ | 作成日時:2016年1月5日 21時