乗っ取りなんて：４８ ページ48
ゆのい 「なっ、あ、あんた……」
A 「お久しぶりです〜。しばらく見習いとしてお世話になります」
翌朝、政府の車に送られてやってきた、私の、いや、ゆのいの本丸の門前にて顔合わせが行われた。
ゆのいの驚きに満ちた表情は、すぐに敵意へと変わった。
ゆのい 「見習いってあんただったの？ なによ、今更返さないわ」
A 「別に返してくれだなんて一言も言ってませんよー。どなたかみたいに、誰かを傷つけてまで手に入れる本丸なんていりません」
ちゃっかり嫌味も混ぜて、笑顔で言い返す。
別に、誰かを傷つけるくらいならばほしくない。
まぁ、「必要とされた」のであれば、話は別だけどね？
そういうと、ゆのいはあからさまにホッとした表情をした。ボクが乗っ取らないと安心したのだろう。
果たしてそうだろうか、と言葉を飲み込む。
ゆのいはそのままボクをつれて本丸の玄関へと連れて行った。
ゆのい 「なるべく早く出ていきなさいよ。あと、あんたは離れにいてもらうから」
A 「はーい」
ゆのい 「……妙な真似をしたら、わかってるわね？」
A 「お邪魔しまーす。えっと、大広間ってこっちでしたっけ？」
ゆのいの言葉を無視して、ボクはさっさと本丸内に足を踏み入れた。
後ろから「ちょっと！」と怒号が飛んでくるが、それも聞いていない素振りで大広間へと歩みを進める。
まだ刀剣男士に会っていないから断言はできないが、おそらくここはブラック本丸だろう。
漂う神気が濁っているし、不気味なまでに静かなのだ。
昨日までお世話になっていた沫雪様の本丸は朝から晩まで賑やかで楽しげだったから、余計にそれが際立つ。
A 「ここに皆さん集まってます？」
ゆのい 「あんたなに勝手に動いてんのよ！」
A 「失礼しまーす」
後ろから小走りで後を追ってきたゆのいに怒られながらも、ボクは襖を勢いよく開いた。
当たり前だが視線がこちらへ集中する。なんだかもう慣れてしまった。
大広間にいたのは、傷ついた刀剣男士たち。予想済みだ。
驚いたように目を見開く者もいれば、顔をゆがめる者、涙を浮かべる者もいた。
ボクまで泣きそうになってしまった。
それでも、ボクはいつも通り笑みを浮かべる。
それこそ、この場に相応しくないほどの明るい笑顔で。
A 「はじめまして、この本丸で無期限でお世話になる見習いでーす」
いつもの言葉は、言わない。
【あとがきみたいなもの】←11/07追記→←乗っ取りなんて：４７
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らんじぇ(プロフ) - マリンさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！ホントですかっ！？そのように言っていただけて嬉しい限りです♪続編希望も感謝です〜！ (2016年11月6日 21時) (
レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 希依さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！労いのお言葉も心に沁みます……(*^_^*)続編希望もうれしいです！ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - ☆☆さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！続編希望感謝です〜♪♪ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 黒猫さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！続編キボンヌ、嬉しいです〜！！ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - あまぽーさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！なんとかここまで書ききれました……(^^ゞ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らんじぇ
| 作成日時：2016年1月5日 21時
